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樹上の村
2019/8/27(1/2)
蠢動する悪意
●
ろうそくの炎がゆらりと揺れ、石畳をぼんやりと動きを見せる。
靴がカツン、カツンと石に当たる音を立てていく。
ぐんにゃりと炎が男の影を動かす。
イオニアスは看守らしき兵士の目の前に立つと、杖で兵士の肩を叩く。
その瞬間、驚いた様子で兵士が跳ね起きて、敬礼する。
「閣下!」
「――――ふん、アレの調子はどうだ」
「ハッ! ここ数日は元気に喚くのを止めております」
敬礼した兵士にこくりと頷いて颯爽と風を切って歩く。
「そうか……」
イオニアスはそのまま歩みを進め、一つの牢の前へ辿り着いた。
そのまま杖で格子をガンガンと叩きつける。
牢屋の奥、暗がりにて何かが動いた。
「ァ、兄上ぇぇ……」
のどが潰れているのか、しわがれた声だ。
「――――キサマの息子な、アレ死んだぞ」
イオニアスは淡々と告げた。
向こう側からの反応は――ない。
分かっていた。これにそんな物があろうはずもない。
「つまりだ、何が言いたいか分かってるか?」
「だ、出してくれるのですね! お願い、兄様!」
「あぁ、そうだ、その通りだ。出してやる。身軽にしてやろう」
イオニアスは笑う。
その笑みは冷徹な、しかし獰猛に――汚物を見るような視線で杖を女に向けた。
キュイィ――と音が鳴る。直後――牢屋の奥で悲鳴がなった。
「看守」
イオニアスが呟けば、兵士が布を一枚差し出して――それに火を当てたイオニアスがぽいと牢の奥へ投げ捨てる。
ぼんやりと照らし出された牢屋の奥で、女が一人、怯えたようにへたり込んでいた。
蠢動する悪意
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ろうそくの炎がゆらりと揺れ、石畳をぼんやりと動きを見せる。
靴がカツン、カツンと石に当たる音を立てていく。
ぐんにゃりと炎が男の影を動かす。
イオニアスは看守らしき兵士の目の前に立つと、杖で兵士の肩を叩く。
その瞬間、驚いた様子で兵士が跳ね起きて、敬礼する。
「閣下!」
「――――ふん、アレの調子はどうだ」
「ハッ! ここ数日は元気に喚くのを止めております」
敬礼した兵士にこくりと頷いて颯爽と風を切って歩く。
「そうか……」
イオニアスはそのまま歩みを進め、一つの牢の前へ辿り着いた。
そのまま杖で格子をガンガンと叩きつける。
牢屋の奥、暗がりにて何かが動いた。
「ァ、兄上ぇぇ……」
のどが潰れているのか、しわがれた声だ。
「――――キサマの息子な、アレ死んだぞ」
イオニアスは淡々と告げた。
向こう側からの反応は――ない。
分かっていた。これにそんな物があろうはずもない。
「つまりだ、何が言いたいか分かってるか?」
「だ、出してくれるのですね! お願い、兄様!」
「あぁ、そうだ、その通りだ。出してやる。身軽にしてやろう」
イオニアスは笑う。
その笑みは冷徹な、しかし獰猛に――汚物を見るような視線で杖を女に向けた。
キュイィ――と音が鳴る。直後――牢屋の奥で悲鳴がなった。
「看守」
イオニアスが呟けば、兵士が布を一枚差し出して――それに火を当てたイオニアスがぽいと牢の奥へ投げ捨てる。
ぼんやりと照らし出された牢屋の奥で、女が一人、怯えたようにへたり込んでいた。
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何となく残しておくと面白いかも知れないと思ったので記録しておくことにする。