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樹上の村

アレクシアの日記

「ブリキット盗賊団とナイフ」

ブリキット盗賊団なる輩から、ナイフを盗んでついでに盗賊団を壊滅させてこいという依頼をローレットで受けた。
このナイフが曲者で、どこぞの有名な大盗賊の魂を取り込んで作られたものだとかなんだとかいう。持ち主に強力な力を与える……らしい。
問題はデメリットの方で、これを奪われると所有者は死んでしまうという。
いわゆる呪いのアイテムみたいなものだが、あまりにもリスクが大きすぎる。
同じく依頼に同行したアニエル君は、自分の生命をチップにしてでも力を欲する者はいるだろうと言っていたが、私にはどうしてそこまでするのかはよくわからない。私にも、そこまでして力を欲するような時が来るのだろうか……

ともかく、このナイフがあるせいでこの一件は相手の命を奪わないわけにはいかなかった。
どこぞの『匿名の貴族様』はコレクターでこのナイフを求めているらしく、奪い取らないわけにはいかなかったからだ。

私には盗み取る技量がないので、戦って奪い取るしかなかった。
戦い自体は同行者のシエラ君を始めとして、味方がうまく敵を引きつけてくれたため、私自身に大きな怪我はなかった。正直殴られたらそう長くは保たないことは自覚しているので、仲間に恵まれたと思う。

しかし、他人の命を奪ったという感覚はどうにも忘れがたい。
目の前で人が動かなくなったのだ……なんというか……
…………………書き記すのも辛いのでやめておこう。

ともあれ、依頼自体はうまくいった。
願わくば、世が少しでも平和にならんことを。

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「誰が為に摘む花か」

病弱なお兄さんが、学者のお姉さんの役に立ちたくて珍しいお花を取ってきて欲しいっていうお仕事を出してたんだ。
身体のせいでやりたいこともやれなくて……っていう悔しさとかは私もすごくよくわかるから、助けてあげたいなって思って引き受けたよ。

この採ってきてほしい花についてはちょっと悲しいお話も伝わってるみたいで。
曰く、好きな人の為に花を摘みに行った人が、そのまま足を踏み外して亡くなってしまったと──
私達はそうそう死ぬことはないけれど、怪我は当然するし、何より不幸な結末にはさせないようにしたいなってこの話を聞いて強く思ったよ。

そうそう、このお仕事引き受けた時、私はその花は、実は花じゃなくて別の何かなんじゃないかって思ったんだよね。
だからこそその辺りに獣が徘徊してて、登る人を狙ってくるんだろうって。
まあ、結論から言うと本当に花だったんだけど!考えすぎだったなあ。

現場では、事前に説明を受けた通り崖を登ってる最中に白い獣が襲ってきたんだ。
とはいえ、何が何でも登らせない、という感じじゃなくて、子供に狩りの練習をさせる感じだったね。
だからこそ、私達も必要以上に怪我させないように追い払って、どうにか無事に昇りきることができた!

登ったその先には、言葉では表現できないくらいキレイな光景が広がってた!
機会があれば、もう一度あそこに行きたいなっていうくらいだったね!

無事に花を見つけてお仕事は達成!
依頼主のお兄さんは、これでお花と一緒に学者のお姉さんに伝えたいことも伝えられるのかな。
うまくいくといいな。

(文末に、簡単な花畑の絵が書かれている)

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