「ブリキット盗賊団とナイフ」

ブリキット盗賊団なる輩から、ナイフを盗んでついでに盗賊団を壊滅させてこいという依頼をローレットで受けた。
このナイフが曲者で、どこぞの有名な大盗賊の魂を取り込んで作られたものだとかなんだとかいう。持ち主に強力な力を与える……らしい。
問題はデメリットの方で、これを奪われると所有者は死んでしまうという。
いわゆる呪いのアイテムみたいなものだが、あまりにもリスクが大きすぎる。
同じく依頼に同行したアニエル君は、自分の生命をチップにしてでも力を欲する者はいるだろうと言っていたが、私にはどうしてそこまでするのかはよくわからない。私にも、そこまでして力を欲するような時が来るのだろうか……

ともかく、このナイフがあるせいでこの一件は相手の命を奪わないわけにはいかなかった。
どこぞの『匿名の貴族様』はコレクターでこのナイフを求めているらしく、奪い取らないわけにはいかなかったからだ。

私には盗み取る技量がないので、戦って奪い取るしかなかった。
戦い自体は同行者のシエラ君を始めとして、味方がうまく敵を引きつけてくれたため、私自身に大きな怪我はなかった。正直殴られたらそう長くは保たないことは自覚しているので、仲間に恵まれたと思う。

しかし、他人の命を奪ったという感覚はどうにも忘れがたい。
目の前で人が動かなくなったのだ……なんというか……
…………………書き記すのも辛いのでやめておこう。

ともあれ、依頼自体はうまくいった。
願わくば、世が少しでも平和にならんことを。

＜幻想蜂起＞狂気の裏に潜む毒

ここまで散発的に起きていた事件とは全く違う、幻想全体の色んな所での武装蜂起
原因はやっぱりサーカスが絡んでるんじゃないか、そして魔種の仕業なんじゃないかっていう風に睨まれてるけれど……
本当にサーカスの仕業ならこのままにしておくわけにはいかないよね。
でも、まずは何よりも目の前で起きている事件を何とかしなくちゃいけないって事で、先に武装蜂起の解決に向かったよ。

私が行ったのはとある村での武装蜂起の収束。
ただ、この村での事件はちょっと他の「狂気による」ものとは違ってて『砂蠍』の残党が関わってたんだ。
人の狂気を煽るサーカスもそうだけれど、その騒動の裏側で無関係な人も巻き込んで自分たちのいいように使おうとする『砂蠍』の残党も酷いなって思ったよ。

残党の人数はともかく、村人に紛れ込んでるせいで判別がつかないから、その為にも村人を説得して、それに対する反応から炙り出そうって作戦でいったんだ。
上手く行けば、村人さん達は説得に応じてくれて、戦わずに済むかもしれなかったしね。
普通の人も、色々と不満があるのは確かなんだと思う。だけど、それを「武力」って形で噴出させてしまったら、もう後には引けない……だから、そうなる前に何とか収めさせたかったんだ。

結果としては、村人さんたちは話を聞いてくれて武器を下ろしてくれた。
『砂蠍』の残党も全員見破った上で戦いに持ち込むことはできたけれど、相手も流石に強くて、捕まえられたのはリーダー格の1人だけ……後は殺すしかなかった……
悪いことをしたのは事実だけれど、何とか生きていて欲しかった……なかなかうまくいかないね