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樹上の村

アレクシアの日記

「ブリキット盗賊団とナイフ」

ブリキット盗賊団なる輩から、ナイフを盗んでついでに盗賊団を壊滅させてこいという依頼をローレットで受けた。
このナイフが曲者で、どこぞの有名な大盗賊の魂を取り込んで作られたものだとかなんだとかいう。持ち主に強力な力を与える……らしい。
問題はデメリットの方で、これを奪われると所有者は死んでしまうという。
いわゆる呪いのアイテムみたいなものだが、あまりにもリスクが大きすぎる。
同じく依頼に同行したアニエル君は、自分の生命をチップにしてでも力を欲する者はいるだろうと言っていたが、私にはどうしてそこまでするのかはよくわからない。私にも、そこまでして力を欲するような時が来るのだろうか……

ともかく、このナイフがあるせいでこの一件は相手の命を奪わないわけにはいかなかった。
どこぞの『匿名の貴族様』はコレクターでこのナイフを求めているらしく、奪い取らないわけにはいかなかったからだ。

私には盗み取る技量がないので、戦って奪い取るしかなかった。
戦い自体は同行者のシエラ君を始めとして、味方がうまく敵を引きつけてくれたため、私自身に大きな怪我はなかった。正直殴られたらそう長くは保たないことは自覚しているので、仲間に恵まれたと思う。

しかし、他人の命を奪ったという感覚はどうにも忘れがたい。
目の前で人が動かなくなったのだ……なんというか……
…………………書き記すのも辛いのでやめておこう。

ともあれ、依頼自体はうまくいった。
願わくば、世が少しでも平和にならんことを。

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お菓子の家のヘンゼルとマルガレーテ

幻想のあちこちで起きている、いたって普通の人が突然狂気にとらわれて人を殺したりしはじめる事件の1つを解決するお仕事
ただ、この事件の場合はこの人……マルガレーテが元々正気だったのかどうかはわからないけれど……普通の人だったと思いたいな。
いずれにせよ、被害者は既に何人も出ていたから、放っておくわけにもいかなかったのだけど。

戦い自体は、おおよそは事前の相談のおかげで大分上手く行ったと思う。
ただ、想像以上にお菓子の匂いがキツくて、影響を受けてしまう人が多かったのは少し誤算だったかも。ある程度はごまかせるかなと思ったのだけど。
後は何より、相手が「魔女」という言葉に思った以上に執着したせいでチャロロ君1人に大きな怪我をさせてしまったのは申し訳なかったな……

結局、マルガレーテが正気に戻ることはなく、殺すしかなかったのだけど……
やむを得ないのは判っていても、人を手に掛けるのは……苦しいな……

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