「ブリキット盗賊団とナイフ」

ブリキット盗賊団なる輩から、ナイフを盗んでついでに盗賊団を壊滅させてこいという依頼をローレットで受けた。
このナイフが曲者で、どこぞの有名な大盗賊の魂を取り込んで作られたものだとかなんだとかいう。持ち主に強力な力を与える……らしい。
問題はデメリットの方で、これを奪われると所有者は死んでしまうという。
いわゆる呪いのアイテムみたいなものだが、あまりにもリスクが大きすぎる。
同じく依頼に同行したアニエル君は、自分の生命をチップにしてでも力を欲する者はいるだろうと言っていたが、私にはどうしてそこまでするのかはよくわからない。私にも、そこまでして力を欲するような時が来るのだろうか……

ともかく、このナイフがあるせいでこの一件は相手の命を奪わないわけにはいかなかった。
どこぞの『匿名の貴族様』はコレクターでこのナイフを求めているらしく、奪い取らないわけにはいかなかったからだ。

私には盗み取る技量がないので、戦って奪い取るしかなかった。
戦い自体は同行者のシエラ君を始めとして、味方がうまく敵を引きつけてくれたため、私自身に大きな怪我はなかった。正直殴られたらそう長くは保たないことは自覚しているので、仲間に恵まれたと思う。

しかし、他人の命を奪ったという感覚はどうにも忘れがたい。
目の前で人が動かなくなったのだ……なんというか……
…………………書き記すのも辛いのでやめておこう。

ともあれ、依頼自体はうまくいった。
願わくば、世が少しでも平和にならんことを。

「生贄の洞窟」

友人が大事にしていたリュートが川に打ち上げられていた。原因を探って仇を取ってくれ、という依頼を受けてきた。
仇討ち……っていうのはあまり好きじゃないんだが、犠牲者が出てる件を見て見ぬふりをするのも気分は良くないので引き受けることにした。

ちょっと嬉しい偶然として、以前も一緒に仕事をしたヨダカ君と、ちょうどこの依頼の直前に知り合った珠緒君も同じ仕事を受けていた。顔合わせではびっくりしたよね。

問題の川の上流には村があるらしいとのことで、そこを調べる人員とそれ以外で手分けをすることになった。
私は何かと人間以外から情報収集する手段が多かったので、外周りを担当することに。
正直歩き回るのはめちゃくちゃしんどいどころじゃなかったけど、なんとか迷惑をかけずには済んだだろうか……というかバレてないといいな。

調べた結果、怪しい洞窟が上流にあって、ギフト……あんまり使いたくないけど……も使ってみた所他とは比べ物にならない強力な生物がいた。
さらに待ち合わせの場所で待ちながらファミリアーで村の様子を伺ってると、村人が仲間に薬を盛るとかしていた。正直かなり頭にきたけど、しばらく様子を見ることにした。

そのまま待ってると村人は仲間を運んで件の洞窟へ。なるほど、生贄だったというわけで。
……ひとまず仲間を助けるためにも洞窟へ向かって、そのままそこにいた大蛇を退治。ギフトで感知したデカイ奴だったみたいね。

後は村に戻って……細かいところは仲間に任せたけど、なんでもっと早くローレットなりを頼ってくれなかったのかな……って思っちゃうよ。
私達が頑張れば、こんな事件も少しは減るのかなあ。