「ブリキット盗賊団とナイフ」

ブリキット盗賊団なる輩から、ナイフを盗んでついでに盗賊団を壊滅させてこいという依頼をローレットで受けた。
このナイフが曲者で、どこぞの有名な大盗賊の魂を取り込んで作られたものだとかなんだとかいう。持ち主に強力な力を与える……らしい。
問題はデメリットの方で、これを奪われると所有者は死んでしまうという。
いわゆる呪いのアイテムみたいなものだが、あまりにもリスクが大きすぎる。
同じく依頼に同行したアニエル君は、自分の生命をチップにしてでも力を欲する者はいるだろうと言っていたが、私にはどうしてそこまでするのかはよくわからない。私にも、そこまでして力を欲するような時が来るのだろうか……

ともかく、このナイフがあるせいでこの一件は相手の命を奪わないわけにはいかなかった。
どこぞの『匿名の貴族様』はコレクターでこのナイフを求めているらしく、奪い取らないわけにはいかなかったからだ。

私には盗み取る技量がないので、戦って奪い取るしかなかった。
戦い自体は同行者のシエラ君を始めとして、味方がうまく敵を引きつけてくれたため、私自身に大きな怪我はなかった。正直殴られたらそう長くは保たないことは自覚しているので、仲間に恵まれたと思う。

しかし、他人の命を奪ったという感覚はどうにも忘れがたい。
目の前で人が動かなくなったのだ……なんというか……
…………………書き記すのも辛いのでやめておこう。

ともあれ、依頼自体はうまくいった。
願わくば、世が少しでも平和にならんことを。

「＜グラオ・クローネ2018＞チョコレイトラプソディア」

グラオ・クローネにちなんでチョコの交換会を行うという催しがあったので参加してきた。
ユリーカ君は何やらヴァレンタインデーがどうのと言っていたが、どこかの世界の風習だろうか？

それはともかく、折角なので友達の一人でもできればいいなと思っていた。
なにせ深緑からは一人で出てきたものだから、こちらにはまだほとんど知り合いらしい知り合いがいない。
依頼で知り合った人はいくらかいるが、それも数えられる程度だ。

数が大事というわけではないが、やはり仲のいい友達がいると嬉しい……一人は寂しいしな。
というわけで、きっちりチョコを自分で仕上げて持っていくことにした。

いざ当日、交換会では桜咲 珠緒という子と交換することとなった。
どうやら、私以上に身体が弱そうだったが……自分のことを差し置いて心配になってしまうほどだった。
それでも、新しい人に会えたのは嬉しいし、仲良くなれると良いなとも思う。
そのためには、まずは行動しないと、だ。