「んん……」

秋も終わり、冬が差し迫る頃。
ツリーハウスの窓から差し込む夕陽に目を覚ます。

「……また寝ちゃってたのか……」

あの激しいカムイグラでの決戦を戦い、最低限の事後処理を終えて家に着いたのは数日前のことだったか。
とにかく今は、身体が休息を欲していた。
元々体力に自信がある方ではなかったことに加え、自凝島の脱出行からさして間をおかずに大きな戦いに臨んだ身体はもはや気力だけで動いているような状態だったのだ。
なればこそ、帰り着くやいなや糸が切れたように眠りこけていたのも当然で、一度目覚めてからも寝る以外の行動は最小限だった。

「おなかすいた……」

ベッドから抜け出そうと、ゆっくりと身を起こす。
寝起きと疲労で曖昧な意識のなかでも、何か食べなければという気持ちだけは確かにあったのだ。

（シラス様との1：1のスレッドです。当事者以外の書き込みはご遠慮ください）

差し出されたパンケーキを口に含む。
ゆっくりと味わえば、柔らかな甘さが口の中に広がる。
今の状況がゆえか、どこか昔を思い出すような、それでいてやっぱりシラス君らしいような……そんな味わいだった気がした。

一口分をたっぷりと味わってから、問いかけに「うん、美味しい」と答えた。
いつもみたいに元気よくとはいかなかったけれど、美味しいなと思ったのは本心だ。
だから、残りの分のお皿を受け取って、黙々と口に運んだ。

昔も、今も、こうやって大変なときに気にかけてくれる人がいるのは幸せなんだなあと思う。
そう思っていると、自然と笑みがこぼれてくる。
もっと頑張れるんだという気持ちになってくる。

「何でもやってくれるの？それじゃあ何をお願いしようかなあ……部屋のお掃除とか……」

なんて、いたずらっぽく言ってみる余裕も出てきた気がする。
少し前まで、動くことすら億劫だったというのに。

「ふふ、やること盛り沢山だね。私も早く付き合えるように頑張るよ。
　そうだ、シャイネンナハトも近いんだったね……」

言われてみてはっとする。
イレギュラーズになってからは、特に楽しみにしている日の一つだったのに。

「すっかり忘れちゃってたや……でも、私も遊びたいなあ。
　何して遊ぼうか。こんなだから、私ぜんぜん何も調べてなくって……」

少しの申し訳無さを隠すように、ふわっと笑って問いかけた。