PandoraPartyProject

ギルドスレッド

自由図書館

【1:1】人気のない図書館で

ぽふぽふと、本棚の上に積もったホコリを落とす音。
それを箒で掃きとる音。そして、館内を回る靴音しか聞こえない。

それでも、自由図書館は今日も『開館中』なのだ。
これでも、一応。

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あン?
なぁにニヤけ面してるんだヨ、寂しんぼの悪霊サンよォ。
寂しんぼってなんだよ。
別にそんな寂しがりやじゃねーし……。
赤羽?
(これ以上は赤羽のクソ煽りが出そうと思ったのか、咎めるように一言言うと)
ちェー、いいだロ、これくらいハ。
というか保護者ってなんだよ保護者っテ。
俺は一生コイツを養う気なんざねぇゾー。
(唇を尖らせた)
あァ、いいいい。気にすんな。
煽り煽られはお互い様だ。
俺は赤羽とはそういう気兼ねない関係でいたいのサ。
気ィ使ってくれてありがとな。
(咎める大地へ穏やかに眼を細め)

一生って訳じゃなくても現状保護者みたいなもんだろ。
面倒見よさそうだよな、赤羽も。
いやだがしかシ、甘やかすと大地は多分きっとおそらくダメ人間になル。
故に最近の俺は心を鬼にしテ、泣く泣く千尋の谷に突き落とすのサ。
(『え、ひどい……』という大地の呟きが聞こえた気がした)

というよリ、面倒見の良さなラ、クウハも人の事言えねぇんじゃねぇカ?
借りてる身分の俺達が言うのもアレだガ……洋館の一室をまあ気前よく貸してくれたしヨ。それに見たとこロ、あそこの幽霊、大分お前さんを慕ってるようにも見えるゼ。
(皮肉な響きは全く含まず、見たまま思ったことを言ったという風だ)
そうだなァ。
谷に突き落とすかは兎も角として、何かある度に赤羽に頼るばっかじゃよくねェし。
少なくともある程度、何かあった時でも平常心を保てるようにはしとかねーと。

どうせ部屋は余らせてっからなァ。
使いたい奴がいるなら貸してやるのはやぶやかじゃないってだけさ。
部屋は使われてこそのもんだしよ。
俺としちゃあれだけ慕われてんのも、奇妙な感覚がしなくもないんだが。
アイツらの前だと振る舞いは出来るだけ控えるようにしてっから、多分そのせいだろ。
ふぅン、そうかイ。
俺も少しばかり死霊術師をやっちゃあいるガ、お前のような霊とはとんと向き合った覚えがなかったからなァ。
少なくとモ、今駄弁ってる分にハ、問題なく自制が効いていると見えるガ。

……うっ、平常心、なあ。
(残念ながら、クウハの言に心当たりがある。ふと、首の傷跡に指が触れる。チクチクとした痛み。これくらいなら赤羽に頼るまでもなく耐えられるレベルだけれど、ひどいときはもうダメだ)
自制心はある方だと思ってっけど、それでも定期的にガス抜きしねーと自前の狂気に呑まれかける。
ブチ殺していい悪人馬鹿共がゴロゴロいるお陰で助かってるが、平和すぎる場所だと保たねェだろうな……。

いきなり慣れろってのにも無理がある。
ゆっくり慣れてきゃいいのさ、ゆっくりな。
フーガ辺りと特訓するのはどうだ?
アイツも相当ビビりだし、なんとかしねーとなァ。
マ、普通の生き物だっテ、水が綺麗すぎると住めねぇ奴だっているシ、そればっかは仕方ねぇだろうヨ。
逆に小悪党数人の命で他の大多数が平和にやれるんなラ、喜んでその命を捧げてほしいもんだネ。

そうさナ、お前と俺で仕掛け人になっテ、フーガと大地の肝を鍛えまくってやるのもアリかもな?
霊的ドッキリと物理的ドッキリの両面作戦でヨ。
(特にフーガの様を想像したのか、愉快そうにクツクツ笑っていたが、急に首をさすって)

……おっト、ちょいタンマ。
大地、今

……んー……イエロー寄りの……グリーン……?
(窓の外を見る。今日は湿度が高いかもしれない)
おぉ、そりゃ中々面白そうだな?
小気味いい悲鳴が聞けそーだ。
(哀れな被害者二人の怯え惑う姿を想像し、くつくつと喉を鳴らしていたが……)
……なんだ、首が痛むのか?
(大地につられるようにして外を見る。
特に何があるわけでもないが……)

…そういや、雨降りそうな天気してたな。
湿気が多いと思い出すのか?
どうやらそうらしいゼ。
側ハ、ちいっと一瞬違和感を覚える程度なんだがナ。
メンタルは別に幽霊でも何でも使ってゆるゆる鍛えてやればいいけド、まず大地の場合ハ、一人でこれを乗り切れるようになる必要があるんだよなァ……。
今日はライトなんでまだいいガ、本人に言わせりゃア、痛すぎて気が狂いそうな時もあるらしいシ。
(やれやれといったふうに肩をすくめた)

んー……湿度が多い日はジクジクしたりチクチクきたり。
逆に空気が乾燥してる日はピリピリ、かな。毎日こうなるって訳じゃないけど……。
(少なくとも大地は、答えられる程度には元気だし正気だ)
ふぅむ。
結合に不具合があるってわけでもない辺り、の方に記憶が染み付いてんのか……?
トラウマはそう簡単に薄れるもんでもねェしなあ。
何かいい方法がありゃいいが……。
(顎に軽く手を当て事案顔をする)
全ク、俺側の不備であれバ、もう少し色々試しようがあるんだガ。あの女をぶっ倒したまではいいんだガ、こういう課題がまーだ残るたあなァ(溜息)

うん、クウハの言うとおり……割り切ったつもりでも、染み付いてしまっているのかもしれないな。あ、でもこれくらいだったら、化粧水というか、何か保湿できるものをつければ落着く……こともあるよ(つまり、お守り程度の手段ということだ)
そうだな……。
オマエ、それをどうしたい?
自分の意思だけで耐えられるようになりたいか、外法に頼ってでも楽になりたいか。
保護者赤羽としちゃ前者を望むだろうが……。
(この答えは、大地自分 自信の意志で言わなくては。息を吸って、吐いて)
これが良くなる可能性があるなら、ありとあらゆる手段を講じたい、と思ってる。
……確認だけど、その外法って、例えば、どんな?
(疑り深い赤羽ではないが、触りすらも聞かずに決めるのはいかがなものか思ったようだ)

あ……蛇の生き血だのカエルの肝だの集めろ的なのならやるけど……そのへんの人を切りつけたり的なのは……ちょっと……。
(そこは少し日和った)
あー、違う違う。
そういうんじゃねーよ。
俺や赤羽は兎も角、オマエは必要以上に他人を傷付けるべきじゃない。

例えば、″魔具に痛みを吸い上げさせる”とかはどうだ?
首の痛みに限定するとなると、旦那に頼む方がいいだろうが……。
ああ、他に痛みを移す手法か。考えたことなかったな……。
(大仰な妄想をしてしまった事は恥じつつも、なるほどという風に頷いた)

赤羽も俺も、そういう呪具作成クラフト系には精通していないからな、誰かに助言を受ける、ないし作成を依頼するとなると……やはり、銀月さんが真っ先に思いつくなあ。
……この間は赤羽が頼んでた手前、立て続けで悪い気もするけど……うん、何か面白そうな本、また探しとこ……。
旦那は必要とされんのが嬉しい人だから、嫌な顔はしないだろうさ。
俺でもそれっぽいもんは作れるだろうが、生憎器用じゃないもんで、他の痛みまで根こそぎ吸い上げかねん。
痛みがなくなりゃ過ごしやすくなるとはいえ、それはそれで問題だからなァ。
まあ、そうだなあ。
うっかり指を切っちゃった時も気づけた方が良いし。血のついた指で本を汚したくないし。

それじゃあ、今度彼?……か彼女かは相変わらずわからないけど、この件で尋ねてみようかなあ。

(喉元を触る。不快な感覚は微妙にはあるものの、無視しようと思えばしてられる範疇だ)
……ん、話してるうちにだいぶ紛れたよ。
ごめんなクウハ、俺の事情に突き合わせてしまって。
栗饅頭でも食うか?
いいさ。俺が好きで付き合ってんだ。
それとは別に栗饅頭は貰うけどよ。

…冬になれば雪も降る。
早い内になんとかなりゃいーな。
じゃあこれ。お茶も飲みな
(盆に乗っていた饅頭の包をクウハの前に置き、湯呑にまた茶を注いでいく)

そうだな……去年は外に出ても冷えてピリピリくるわ、暖炉で暖まってもヒリヒリ来る時もあったから、そういうことがない方がぶっちゃけ過ごしやすいし。
(自分の分も一つかじる。栗が一個ごろっと入っている)
……全くあの兎め。
(モグモグしながら愚痴のように零す。とはいえ本気で恨んでいるようなトーンでもないが)
おう、サンキュー。
(大地に倣って栗饅頭を一口齧り)

しかし、自分をブチ殺した相手だってのに、そう恨んでるわけでもねェんだな?
オマエらしいっちゃオマエらしいが。
死んだヤツの事ハ、あまりグチグチ言わねぇ主義なのサ。
下手に俺達の怨念だのが凝り固まってアレが悪霊みてぇなのになってモ、これまた手に追えなさそうだしサ。

それに、彼女との因縁は、既に俺達の手で
他の人に聞かれて当時の話をする分にはいいけど、彼女が既に 人物なら、これ以上多くを語る必要は無いだろう……って、そう思ってる。
違いない。
恨まれれば恨まれる程力を増幅させる奴も少なくないしな。
俺がその良い例だ。霊だけにってな。

オマエの首を断ち切った兎の末路は気になるが、それはまた別の機会にするか。
首が痛み出しても困るしな。
はーン、なるほド。
死霊術師としても勉強になるヨ。

……まあ、そうだな。
彼女の話はまたいずれ。

……そうだ、せっかく来てくれたんだ。
何か借りていくか?
お、そうだな。
何かお勧めの本はあるか?
ジャンルは問わない。基本何でも読むからよ。
んー、何でもいい、となると……。
(カウンター近くの特集コーナーを差して)

秋のミステリー特集にも置いてあるけど、『ホームズ&ワトソン』シリーズ……探偵ホームズと、そのサポートをする助手ワトソンっていう職業がメジャーになってる世界の話でさ。
不治の病で家から出られない探偵ホームズの兄の代わりに、助手ワトソンの弟がめちゃくちゃ頑張るんだけど……まあ兄が暴虐無尽だわ、近所の人も皆いい人なんだけどどこか抜けてるわで、日常風景はコミカルで。
かと思えば、急に凄惨な事件現場の描写が書かれたり、緩急の付け方が素晴らしいんだ、この作者は。
シリーズが幾つも刊行されているんだけれど、やっぱり一番オススメしたいのは第一作目。
まだ主役級の人物の掘り下げは浅いんだけど、その分純粋なミステリーものとしても読むことができるし、前情報も必要ないし。
個人的に好きなのは9巻かな。
事件解決に駆け回る中で、ある人物からの言葉をキッカケに、弟が自分の存在意義に悩んでしまうんだ。
そのせいで、ある現場で彼が致命的な見落としをしてしまって……。

(大地本人は気づいていないが、後半につれて徐々に早口オタクの様相を呈している。)
…っ、っくく……。
(大地の早口オタクぶりがツボに入ったらしく、肩を震わせて笑っている)
えっ……あっ……(まずい、相手のペースを考えずに喋ってしまった。そんな風に自分の口を塞いだ)

……あ、あとは、貸出ランキングコーナーに並んでるやつも、だいたい面白いよ
(なので、続く言葉は控えめになる)
…あぁ、悪ィ。ちゃんと聞いてるよ。ありがとな。
成る程、かなり面白そうだ。
いやしかし、オマエ本当に本が好きなんだな。
(まだ笑いが収まらないらしく、くつくつと喉を鳴らして)
そんな笑うなよ……(少しションボリした)
ああ、混沌に来る前……赤羽に出会うもっと前から、本は大好きだ。
本というか、文字を読むことが好きなのかもしれないけど……。

そうそウ、俺と一緒になって割とすぐくらいにモ、町歩いてて急にコイツ、立ち止まったんだよネ。
何だと思ったラ、街頭のポスターをてっぺんから下まで、ずーっと目で追ってたんだワ。

あと飯食うときのふりかけモ、成分表とかのラベルをじーっと見てた時もあったヨ。
俺が呼ばなかったラ、米が冷めるまで見てたと思うネ。
馬鹿にしてるわけじゃあないぜ?
可愛らしいな、ってそれだけサ。

流石にふりかけの成分表を穴開くぐらいまで見たりはしねーが、なんか書いてあると気になる気持ちはよくわかるわ。
それだけ熱烈な視線を注がれるとなると、読まれる文字の方が照れちまいそうだな。
あはは……かわいい、って言われるとちょい恥ずかしいな……。

文字の方が照れる……?
(クウハの言に、意表を突かれたかのように瞬きをした)
登場人物の気持ちはさておき、読まれるモノ側の気持ちは考えたことなかったな……なるほど深い……。

……あーアー、また文系のスイッチが入っちまったゾー?
直接声を聴いた経験はないが、物に意思がある場合も少なくないからな。
本は読まれてこそのもんだし、オマエに愛された本は幸せだろうな。
……確かに、付喪神とかじゃないけど、本側が何か思うこともあるのかもしれないな。
だとしたら……いや、意思なんかなくたって、大切に扱わないとなあ。
(周囲の本棚をぐるり、見渡した)

……あ、そうだ、今日は折角来てくれたんだし……何か、借りていくか?
んじゃ、さっきオマエが語ってくれた『ホームズ&ワトソン』シリーズを一冊と……。

あぁ、そうだ。
ハッピーエンドの絵本ってあるか?
有名所の童話とは別の珍しいやつで。
(サラサラとメモをとって)了解、少し待ってて。
(一度席を立つと、言われたものを取りに行き)

まず、ホームズ&ワトソン、第一巻。
で、絵本だけど……この『しきのたびびと』は、著者の言葉遣いと、花の挿絵が温かみがあって良くって。

『わるものってよばないで』は、イタズラ好きな主人公の狼と、親友の鬼のコンビがなんとも憎めなくって。

『ひかりのよる』は、まあ今の時期にピッタリのお話かな。シャイネンナハトが楽しみでしょうがない男の子のお話だ。

(とりあえず表紙を見せながらざっくり紹介していく。仮に今言った中に気に入るものがなくても、他にも紹介できるようだが)
お、その「しきのたびびと」は良さそうだな。
丁度そういう穏やかなものを探してたんだよ。
他のも気になるが、今回は二冊だけにしとくか。
ありがとな。
お、これにするのか。
うん、俺も読んでてホッコリしたよ。勿論他のもオススメだけど、それはまたの機会に。

返すのは俺達が洋館に居る時とかでも良いゾ。最悪、部屋のドアにでもかけといてくレ。別にここ出てすぐにある返却ポストでも良いガ。
(大地がサラサラと貸出帳に書いている傍らで、赤羽が補足した)
ん、分かった。

それはそれとして寂れてるよなァ、ここ。
あんま利用する奴いねーのか?
……うん(そう応じる声はとても大人しい)
なんだろう、この辺、少し薄暗いし……その辺で敬遠してしまう人もいるのかもしれないな。
いやまあ、本にとってはいい環境なんだけど。

マ、だからこそ俺等がこうしてお喋りしてる時間もあるわけだがナ。
ゆっくり本が読みたい奴にはいい環境だろうにな。
おまけに優秀な司書もいる。
暇だから話してられるってのはそうなんだが、なーんか勿体ねェよなァ。
そんな、俺なんてまだまだだよ(謙遜の言葉を言いつつ)
……冷静に考えると、あんまり俺が積極的にここの宣伝をしてないせいもあるんじゃないかって気はしてるよ。
まあ静かで平和なのは良いことだが、もっと色んな人にここの本の良さを知ってほしいっちゃあ知ってほしいかなあ……。
本は読まれてこそだしな。
本が好きそうな奴がいたら、此処を紹介してやってもいいか?
それは勿論。
人間が来る方ガ、俺も退屈しねぇしナ。
OK、じゃあ興味ありそうな奴がいたら声掛けてみるかね。

今日はこの辺で暇しとくか。
有難うな、大地に赤羽。
(借りた二冊の本を手に席を立とうと)
ん、今日は来てくれてありがとう。
気をつけて帰って。
(同じく席を立つ。ここから出るまで見送るつもりだ)

じャ、またお前ん家でナ。
(赤羽も軽く手を振った)
おう。
今日の礼にまたなんか美味いもんでも作ってやるよ。
(ひらりと手を振り、入り口から出て行った)
ん、楽しみにしてる。
(その背を見送ったあと、テーブルを軽く片付けて)

……さて、もう少し頑張るかあ。
(とりあえず、これから来るかもしれないお客さんのためにも、もっと図書館を綺麗にしておこう、と呟いて。清掃作業へと戻っていった)

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