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文化保存ギルド
2
藤次郎は老人を無視し、人混みをかき分けて酒場に向けて歩みを進めた。少々狭いが、ガタイがでかい自分が通れば割と無理やり通れる。
「おいそこの。これ以上は立入禁止だぞ」
当然兵士に呼び止められるが、その辺の対策は一応考えてある。
「おっと、そいつはすまんな。行きつけの店が心配でな」
「気持ちはわかるがどうしようもない。おとなしく待っていろ。我々がなんとかする」
兵士は藤次郎よりも小さいが色黒でかなり鍛えられており、身につけた鎧も相まって頼りがいはある。装飾が少々豪華で、どうやら隊長らしい。しかし今回は話が別だ。隊長だろうがなんだろうが話は聞けない。
「そうは言うがなあ、人質もおるんだろう?さっさとできるもんか?」
「闇雲にはいけん。しかし機会を見てなんとかする」
「ふーん…ならしばらくかかりそうじゃな。ワシがなんとかしよう」
藤次郎はそれだけ言うと、そのまま酒場に向かった。
「なんとかって…おい立入禁止だと言ったろ!入るな!」
「大丈夫。これでもローレットに所属しとる」
「そういう問題じゃない!」
兵士が怒鳴りつけつつ藤次郎の肩に掴みかかる。藤次郎は少しだけ首を兵士の方に向け、
「やかましい」
とだけ言い捨てる。それだけの言葉だが、体格差と武人の持つ独特の威圧に気圧された兵士は、おとなしく引きさがった。
酒場の中は当然ガランとしており、人気はない。そこかしこにグラスや酒瓶、アルコールが散乱しており、店の中はかなり荒れていた。かなり暴れたらしく椅子や机もかなり破損し、床や天井はあちこちに弾痕がある。
「さてと…おーいおるかの?」
「動くな!」
呼びかけると、怒声が中から聞こえてくる。
「金は持ってきたのか!」
中を見ると、カウンター席に立てこもり犯と思われる男がいた。カウボーイスタイルを身に着けた白人の男で、拳銃を右手に握りこちらに銃口を向けている。泥酔しているらしく、顔はかなり赤い。
その傍らにはまだ10歳にもならないであろう黒髪の男の子が震えながら座らされていた。店の主人の息子であり、おそらく彼が人質であろう。店を手伝っている少年で、たまに藤次郎もチップという名のお小遣いをあげたりする。
「店の入口まで持ってきておる。なかなか重かったぞ」
「じゃあおいて帰れ!」
「その前に子供が先じゃ。出なきゃ金は渡せぬわ」
「うるせえ!劣等人種の黄色い猿め!俺に楯突く気か!」
藤次郎は老人を無視し、人混みをかき分けて酒場に向けて歩みを進めた。少々狭いが、ガタイがでかい自分が通れば割と無理やり通れる。
「おいそこの。これ以上は立入禁止だぞ」
当然兵士に呼び止められるが、その辺の対策は一応考えてある。
「おっと、そいつはすまんな。行きつけの店が心配でな」
「気持ちはわかるがどうしようもない。おとなしく待っていろ。我々がなんとかする」
兵士は藤次郎よりも小さいが色黒でかなり鍛えられており、身につけた鎧も相まって頼りがいはある。装飾が少々豪華で、どうやら隊長らしい。しかし今回は話が別だ。隊長だろうがなんだろうが話は聞けない。
「そうは言うがなあ、人質もおるんだろう?さっさとできるもんか?」
「闇雲にはいけん。しかし機会を見てなんとかする」
「ふーん…ならしばらくかかりそうじゃな。ワシがなんとかしよう」
藤次郎はそれだけ言うと、そのまま酒場に向かった。
「なんとかって…おい立入禁止だと言ったろ!入るな!」
「大丈夫。これでもローレットに所属しとる」
「そういう問題じゃない!」
兵士が怒鳴りつけつつ藤次郎の肩に掴みかかる。藤次郎は少しだけ首を兵士の方に向け、
「やかましい」
とだけ言い捨てる。それだけの言葉だが、体格差と武人の持つ独特の威圧に気圧された兵士は、おとなしく引きさがった。
酒場の中は当然ガランとしており、人気はない。そこかしこにグラスや酒瓶、アルコールが散乱しており、店の中はかなり荒れていた。かなり暴れたらしく椅子や机もかなり破損し、床や天井はあちこちに弾痕がある。
「さてと…おーいおるかの?」
「動くな!」
呼びかけると、怒声が中から聞こえてくる。
「金は持ってきたのか!」
中を見ると、カウンター席に立てこもり犯と思われる男がいた。カウボーイスタイルを身に着けた白人の男で、拳銃を右手に握りこちらに銃口を向けている。泥酔しているらしく、顔はかなり赤い。
その傍らにはまだ10歳にもならないであろう黒髪の男の子が震えながら座らされていた。店の主人の息子であり、おそらく彼が人質であろう。店を手伝っている少年で、たまに藤次郎もチップという名のお小遣いをあげたりする。
「店の入口まで持ってきておる。なかなか重かったぞ」
「じゃあおいて帰れ!」
「その前に子供が先じゃ。出なきゃ金は渡せぬわ」
「うるせえ!劣等人種の黄色い猿め!俺に楯突く気か!」
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