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文化保存ギルド

PPP一周年記念SS置き場

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その日、小平藤次郎はいつものように酒場へ向かっていた。いつもの和装と腰にキセルを身に着けたいつものスタイルで歩くこのときはなんとなく楽しい。
しかし今日は道中の雰囲気が何やらおかしいことに気がつく。
(いやにざわついておるな…何かあったのか?)
少し足早に歩を進めると、目の前に人だかりができていた。
「おい、何事じゃ?祭りでもやるのか?」
その辺にいる野次馬を捕まえ、尋ねてみる。
「祭りならよかったんじゃがねえ。ほれ、そこの店で立てこもりじゃよ」
藤次郎の問いに答えたのは年は腰の曲がった老人で、手にした杖で騒ぎのある方を示した。
「どれどれ…」
藤次郎が視線をやると、示された先は今向かうつもりの酒場であった。ちょっと小さめのウェスタン風(というらしい)酒場だが、数多くの酒があるうえに静かだ。しかし今日は周りを取り囲む兵士と、それを眺める周囲の人々で埋め尽くされており、普段の面影がまるでない。
(ふうむ。困ったのう…)
これでは酒が飲めそうにない。今日のところは出直すかと思い、背を向けようとしたときだった。
「さっさと金だせ!!この劣等人種ともが!!!」
怒号とともに乾いたような破裂音が何度も響き渡る。
「きゃあ!」
「あいつ撃ってきたぞ!」
「けが人がいる!早く運べ!」
叫び声と悲鳴が響き渡り、兵士たちがその対処に回る。
「おい爺様。こんだけひどいことになっとるのになんで黙ってここのもんは見ておるのだ?これじゃけが人が増えるだけだろう」
肩や太ももにから血を流した人が何人も担架で運ばれていくのを見ながら毒づいた。老人は薄くなった頭をポリポリとかきつつ返事をする。
「それもそうなのじゃがな、なにせ人質がおる」
「人質?」
「そうじゃ。あの店の一人息子が質の悪いウォーカーの酔っぱらいに人質に取られたな。そこからあの騒ぎじゃ。しかも人種がどうとかわめいておるし……本当にタチが悪いわい」
老人は苦々しく言葉を吐いた。
「本当にウォーカーは…」
「これだから常識を知らない連中は…」
周囲の人間も同じことを思っているらしく、そこかしこで似たようなことを言っているのが聞こえた。
藤次郎は店を一瞥。様子をうかがうと一歩踏み出した。

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