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文化保存ギルド

【旅日記】白子の娘の秘宝

このスレッドは、冒険の記録をまとめたものである。
それ以上でも以下でもない。事実と脚色と、ほんの少しの旅情のある記録達――

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 なんてことだ、と私は呆然とした。
 装備を整えて石扉の中に入れば、扉は勝手に閉まった。ここまでは予想通り。事前に入り切る前に、内側から開くこともできるというのは確認していたから。
 けれどそれ以上に驚いたのは、閉じるなり壁にはめ込まれた、水晶だろうか。その内側に火が灯り、通用口全体を十分な灯りでもって照らしたのだ。
 遺跡の外部施設である「通用口」まで完全に動いていたことから予測できたとはいえ、それでも完全な状態で稼働している古代遺跡など、そう何度も目にかかれるものではない。
 この搬入口は石造りになっており、装飾も殆ど無い。本当にただの仕事用の場所、といった雰囲気だ。けれど、触れてみれば床の岩は丁寧に研磨されており、わざと荒く仕上げることで車輪や馬の蹄が滑らないように作られている。
 壁もそうだ、よく見れば矢印のような形状の装飾が彫り込まれており、順路を示している。非常に機能的で、非常に作りが良い。この搬入口の調査だけで一ヶ月は時間を使うことができるだろう。

 しかし、そうするには私達の装備はあまりに不足している。近場にあった馬屋らしき場所にラクダをとめ、不要な装備はここにまとめておく。遺跡の内容はともかく、搬入口にトラップを仕掛けている様子はなかったからだ。
 であれば、と私はアトに目配せをする。ごく単純な理屈だ「入っていけない場所」に罠が仕掛けられている可能性が高い。
 そして白兎にまつわる物が、伝承の通り忌まわしいものであるというのならなおのことだ。よって、探索プランとしては「罠の仕掛けられている通路の発見」と「施設の全景、全容が見える場所の発見」をまずは主軸に据えようと思う。
 ここがオアシスにあるというのなら、どこかに水路か何かがあるはずだし、水が手に入るならアタックにも余裕ができる。

 深呼吸する。自分の全身に魔力と理屈を充填していく。装備をもう一度確認し、体の砂を念入りに落とし、ゴーグルをつける。
 此処から先は本物の未知の領域だ。
 此処から先は一歩間違えれば死ぬかもしれない領域だ。
 通路の確認と水場、全景の把握はまだ危険度は低い。しかし、名もなき屍がどうやってできてきたのか、それを知っていればどんな状況でも警戒しすぎということはない。
「通路は広いわ、斜めに並んでいくわよ。アトの方が鼻が利くから少し前に。私が後方警戒を」
 そう言って私達は歩を進めた――。

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