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文化保存ギルド

雑多バインダー

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……『絶望の海』を的確に伝えてきた海図(かたりべ)が今更嘘を吐くとは誰も到底思えない。
 ならば、それを手にするのは絶望的な程に絶対的な命賭けであり、試してみる以上の答えが何処にもないのは明白だった。
「副長。一つだけ頼まれて貰えないか」
「嫌ですけど」
「そう言わずに、ネ。君にしか頼めないのだ」
「……すごく嫌ですが、聞くだけならば」
「吾輩は必ずあれを手に入れる。だが、吾輩がもし『無事で済まなかった時』。
 そうだな。吾輩の事は言わず、代わりにその望みを叶えて欲しい」
「……つくづく厭なキャプテンですねぇ。無茶振りには慣れてますけど」
 渋面をした副長は意地悪く言った。
「そうですね、『名前を呼んでくれたらそうします』」
「……は?」
 不意を突かれた顔をしたドレイクに副長――クリストロフはようやく溜飲を下げた顔をした。
「キャプテンは他人の名前を覚えませんからね」
「海賊の――男の誓いだ! 吾輩は今後一生、君の望みを尊重しよう!」
 話は纏まり、ドレイクは黄金の果実――生命そのものに手を伸ばす。
(女王陛下、吾輩を待ってくれていなかったら――最初で最後、本気でお恨み申し上げますよ!)
 それが禁忌であろうとも、彼を阻める者は居ない。阻める意志は無い。
 エリザベス・レニ・アイスは必ず彼が救うのだと、歴史にそう書いてある。
『絶望の海図』にそれを書き加えて――物語はきっと初めて完結するのだと!

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