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文化保存ギルド
【第三章 第七節】
『参加者:エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787) 那須・与一(p3p003103) ノルン・アレスト(p3p008817) 』
「おそろいのお守りを皆で買おうと思ったのですが」
ノルンが唸った。彼らが居るのは宝飾店のアクセサリーコーナー。そう、冷静になればすぐに分かることだったのだ。
「お守りって言ったら基本神様由来ですよね、それは」
神様に振り回されてきたイーリンと勇者パーティ。そして自分たちも間接的にとは言え巻き込んできたものをお守りに、という気分には流石になれなかった。
かといって宝飾店で十数人分のお守り代わりの宝石となると結構な金額が必要で。
「どうするかしら。ぎゅってする」
「先輩、ぎゅっとするなら私をどうぞ」
イーリンがぎゅっとして奇跡をどかーんなんてしたらそれはそれで違うんですってノルンが頭をぶんぶん振る。与一はイーリンの腕に抱きついて尻尾をぶんぶん振っている。
エクスマリアも改めて用意するとたしかに困るものだなと言いながら、これみよがしにイーリンの隣に居る。
端から見れば子どもが集まって宝飾店に来ている有り様で、なんとも視線が痛かった。
「ねぇ、やっぱり数が揃うなら何でもいいんじゃないかしら」
「私は先輩とおそろいなら何でも」
「お二人共知恵を貸してくださいこういうときこそ」
「諦めろ、ノルン。今の盟友はぽんこつモードだ。こうなるとしばらく戻ってこない、ぞ」
「否定しなくちゃいけないのに否定できない状況に持ち込まないでください」
いろんな重荷をおろしたイーリンが、ここ数日みんなと遊び続けている様は本当に喜ばしく否定したくない。それはそれとして今ものすごいほわほわしてるのはどうにかしてほしい。
少しして、しょうがないと途中から覗き込んだエクスマリアと共にノルンがこれだと選んだのは、何の変哲もないローズカットのラピスラズリだった。
幸運の意味があり、蕾を模したそれはこれからの前途を祝うのにぴったりだった。
これだと彼が振り向いた時、与一が人差し指を唇に当ててこちらを見ていた。
その横でイーリンは、窓際のイスに座ってうたた寝をしていた。
毎日はしゃいで、疲れてしまったのだろう。
こんな無防備な姿も、見たことがなかった。
三人はこっそり寝顔を堪能し、ラピスラズリのチェーンをなるべく頑丈なやつを選んだ。タンスの奥に眠るよりいつでも持ち運べるように。この寝顔を見るような幸運が、もう一度訪れますようにと。
――そうして、夜。
イレギュラーズと、勇者パーティは王都のはずれにある一角に集まった。別れの時は、存外にさっぱりとしていた。
命の恩人と、たかだか一週間過ごしたくらいではまだ語り足りない。
この世界の話を、向こうの世界の話を。もっと、もっと聞きたかった。
名残は惜しいけれど、祭りは終わるけれど。
それぞれに居場所があるから。
やるべきことや、やりたいことがあるから。
そうして選べる自由が、彼らにはあったから。
これが夢ではありませんようにとラピスラズリのお守りを全員分。
キキモラたちに、行ってきますとイーリンは言った。
イレギュラーズの誰かが、さようなら、ありがとうと言った。
いつかの再会を願って、とエクスマリアが空を指さした。
イーリンの紫の髪が、いつかのように流星の如く輝いた。漏れた燐光は、神の力と共に天に登り。季節外れの流星群をもたらした。
「それじゃあ、今は亡き神々と。我が名において――」
全員が笑顔で、あるいは口々に、短く何かを語らった後に。
「幸運を」
剣の世界から、彼らは消えた。
そして彼女たちの時はまた、動き出す。
安っぽいが、誰もがそのために死力を尽くした。
そのおわりの文章は、判を押したように一つで良い。
つまり
めでたし、めでたし。
『成否:成功』
『参加者:エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787) 那須・与一(p3p003103) ノルン・アレスト(p3p008817) 』
「おそろいのお守りを皆で買おうと思ったのですが」
ノルンが唸った。彼らが居るのは宝飾店のアクセサリーコーナー。そう、冷静になればすぐに分かることだったのだ。
「お守りって言ったら基本神様由来ですよね、それは」
神様に振り回されてきたイーリンと勇者パーティ。そして自分たちも間接的にとは言え巻き込んできたものをお守りに、という気分には流石になれなかった。
かといって宝飾店で十数人分のお守り代わりの宝石となると結構な金額が必要で。
「どうするかしら。ぎゅってする」
「先輩、ぎゅっとするなら私をどうぞ」
イーリンがぎゅっとして奇跡をどかーんなんてしたらそれはそれで違うんですってノルンが頭をぶんぶん振る。与一はイーリンの腕に抱きついて尻尾をぶんぶん振っている。
エクスマリアも改めて用意するとたしかに困るものだなと言いながら、これみよがしにイーリンの隣に居る。
端から見れば子どもが集まって宝飾店に来ている有り様で、なんとも視線が痛かった。
「ねぇ、やっぱり数が揃うなら何でもいいんじゃないかしら」
「私は先輩とおそろいなら何でも」
「お二人共知恵を貸してくださいこういうときこそ」
「諦めろ、ノルン。今の盟友はぽんこつモードだ。こうなるとしばらく戻ってこない、ぞ」
「否定しなくちゃいけないのに否定できない状況に持ち込まないでください」
いろんな重荷をおろしたイーリンが、ここ数日みんなと遊び続けている様は本当に喜ばしく否定したくない。それはそれとして今ものすごいほわほわしてるのはどうにかしてほしい。
少しして、しょうがないと途中から覗き込んだエクスマリアと共にノルンがこれだと選んだのは、何の変哲もないローズカットのラピスラズリだった。
幸運の意味があり、蕾を模したそれはこれからの前途を祝うのにぴったりだった。
これだと彼が振り向いた時、与一が人差し指を唇に当ててこちらを見ていた。
その横でイーリンは、窓際のイスに座ってうたた寝をしていた。
毎日はしゃいで、疲れてしまったのだろう。
こんな無防備な姿も、見たことがなかった。
三人はこっそり寝顔を堪能し、ラピスラズリのチェーンをなるべく頑丈なやつを選んだ。タンスの奥に眠るよりいつでも持ち運べるように。この寝顔を見るような幸運が、もう一度訪れますようにと。
――そうして、夜。
イレギュラーズと、勇者パーティは王都のはずれにある一角に集まった。別れの時は、存外にさっぱりとしていた。
命の恩人と、たかだか一週間過ごしたくらいではまだ語り足りない。
この世界の話を、向こうの世界の話を。もっと、もっと聞きたかった。
名残は惜しいけれど、祭りは終わるけれど。
それぞれに居場所があるから。
やるべきことや、やりたいことがあるから。
そうして選べる自由が、彼らにはあったから。
これが夢ではありませんようにとラピスラズリのお守りを全員分。
キキモラたちに、行ってきますとイーリンは言った。
イレギュラーズの誰かが、さようなら、ありがとうと言った。
いつかの再会を願って、とエクスマリアが空を指さした。
イーリンの紫の髪が、いつかのように流星の如く輝いた。漏れた燐光は、神の力と共に天に登り。季節外れの流星群をもたらした。
「それじゃあ、今は亡き神々と。我が名において――」
全員が笑顔で、あるいは口々に、短く何かを語らった後に。
「幸運を」
剣の世界から、彼らは消えた。
そして彼女たちの時はまた、動き出す。
安っぽいが、誰もがそのために死力を尽くした。
そのおわりの文章は、判を押したように一つで良い。
つまり
めでたし、めでたし。
『成否:成功』
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【偽シナ】彼女に最後に残るもの
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