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文化保存ギルド
【第三章 第六節】
『参加者:エマ(p3p000257)』
「えっ、イーリンさんこのまま混沌に帰るんですか」
「あんた皆に話聞いてなかったでしょ」
「い、いやぁだってあれだけ気持ちよく一緒にお喋りしたらなんかほら、満足しませんか」
「はぁ」
がっくりとイーリンがため息とともに肩を落とした。時間はランチタイム。二人は肉と酒の店に来ていた。
「私のところに困ったら来なさいって言ったのに、ずっとこっちに戻ってたら駄目でしょうが」
「いやぁだってあれはそういう心持ちだと綺麗にシメてくれたんだなぁって思うでしょう」
引きつった笑みを浮かべながらなんとか取り繕うエマに、どうだかとイーリンはローストビーフを三枚纏めて口に放り込んだ。
「それに、シュペルの手でいつでも行き来がっていうのが気に入らないの。私は神の力を全て捨ててでも、自分専用通路を作るって言ったのはそういう事」
「な、なるほど。でしたらえーっと。えーっと。ああそうだ、予定。今後の見通しとかそういうの聞きたいなぁって」
「あんたねぇ、それも他の皆に話したわよ。まずは文化保存ギルドや自分の領地の返納手続きとか、不在になった時の処理色々。それからあっちこっち大混乱してるんだから復興に少なからず手を貸すのわかってるじゃないの」
「ひぃん、だってどう見ても大冒険に出る仕草だったじゃんないですかぁ」
小さく悲鳴を上げながらもローストビーフのソースをバゲットで涙を拭うようにすくって食べるエマ、当然うまい。
「旅はその合間とか、一段落ついた後するわよ存分にね。路銀の心配なしでいけるように準備したいの」
「計画性があるのか無計画なのかわかんないですねもうこれ」
「なんですって」
「いえいえ、それでよろしいと思いますよぉ」
ああそういえばさっき見えた劇場も面白そうでしたねぇ。このあと昼の公演を見るのもどうでしょうかと盛大に話題をそらすエマと、それを飲み込んで話を合わせるイーリン。街角で夜遅くまで喋っていたことを思い出す。
きっと、この先何回でも同じように思い出すのだろう。
疎遠になっても、ふとした時にそういえばこうだったと。
「あ、そうそう。私もちょっとロマンチックなこと思いついたんですよ。お昼ですけど乾杯しましょう」
「その切替の早さは驚愕に値するわね。ワインでいいかしら」
店員を指で鳴らして、新しい瓶を開けて注ぐようにお願いをする。グラスはすぐ届き、エマは感謝を述べる。
「お店選びの時から考えてたんですよ。こういう事もしなくちゃって」
「なあに、それ」
一息ついて、背筋を伸ばすエマに、イーリンも居住まいを正す。
「結局、お酒はあんまり好きじゃないってわかったんです。でも、こういう時に乾杯しなくちゃ。いえ、してあげたいって思うときもあるんですね」
エマは笑う。ちょっとキザですかね、と。
「最後まで戦い抜いたイーリン・ジョーンズと、その仲間たちに。それと一緒に戦った人たち全部に」
イーリンも笑う。いいえ、私は嬉しいと。
「乾杯」
親友二人のグラスの音は、遠くまで響いた。
『成否:成功』
『参加者:エマ(p3p000257)』
「えっ、イーリンさんこのまま混沌に帰るんですか」
「あんた皆に話聞いてなかったでしょ」
「い、いやぁだってあれだけ気持ちよく一緒にお喋りしたらなんかほら、満足しませんか」
「はぁ」
がっくりとイーリンがため息とともに肩を落とした。時間はランチタイム。二人は肉と酒の店に来ていた。
「私のところに困ったら来なさいって言ったのに、ずっとこっちに戻ってたら駄目でしょうが」
「いやぁだってあれはそういう心持ちだと綺麗にシメてくれたんだなぁって思うでしょう」
引きつった笑みを浮かべながらなんとか取り繕うエマに、どうだかとイーリンはローストビーフを三枚纏めて口に放り込んだ。
「それに、シュペルの手でいつでも行き来がっていうのが気に入らないの。私は神の力を全て捨ててでも、自分専用通路を作るって言ったのはそういう事」
「な、なるほど。でしたらえーっと。えーっと。ああそうだ、予定。今後の見通しとかそういうの聞きたいなぁって」
「あんたねぇ、それも他の皆に話したわよ。まずは文化保存ギルドや自分の領地の返納手続きとか、不在になった時の処理色々。それからあっちこっち大混乱してるんだから復興に少なからず手を貸すのわかってるじゃないの」
「ひぃん、だってどう見ても大冒険に出る仕草だったじゃんないですかぁ」
小さく悲鳴を上げながらもローストビーフのソースをバゲットで涙を拭うようにすくって食べるエマ、当然うまい。
「旅はその合間とか、一段落ついた後するわよ存分にね。路銀の心配なしでいけるように準備したいの」
「計画性があるのか無計画なのかわかんないですねもうこれ」
「なんですって」
「いえいえ、それでよろしいと思いますよぉ」
ああそういえばさっき見えた劇場も面白そうでしたねぇ。このあと昼の公演を見るのもどうでしょうかと盛大に話題をそらすエマと、それを飲み込んで話を合わせるイーリン。街角で夜遅くまで喋っていたことを思い出す。
きっと、この先何回でも同じように思い出すのだろう。
疎遠になっても、ふとした時にそういえばこうだったと。
「あ、そうそう。私もちょっとロマンチックなこと思いついたんですよ。お昼ですけど乾杯しましょう」
「その切替の早さは驚愕に値するわね。ワインでいいかしら」
店員を指で鳴らして、新しい瓶を開けて注ぐようにお願いをする。グラスはすぐ届き、エマは感謝を述べる。
「お店選びの時から考えてたんですよ。こういう事もしなくちゃって」
「なあに、それ」
一息ついて、背筋を伸ばすエマに、イーリンも居住まいを正す。
「結局、お酒はあんまり好きじゃないってわかったんです。でも、こういう時に乾杯しなくちゃ。いえ、してあげたいって思うときもあるんですね」
エマは笑う。ちょっとキザですかね、と。
「最後まで戦い抜いたイーリン・ジョーンズと、その仲間たちに。それと一緒に戦った人たち全部に」
イーリンも笑う。いいえ、私は嬉しいと。
「乾杯」
親友二人のグラスの音は、遠くまで響いた。
『成否:成功』
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【偽シナ】彼女に最後に残るもの
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