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文化保存ギルド
「何を話してたんだい」
「イーリンと私達の将来のこと」
「誤解を招く言い方をしないでほしいわね」
「間違ってないでしょう別に。イーリンが混沌世界で幸せを望むなら、そこに私達がいないっていうのは道理が通らないと思うわ、ねえメリッカ」
「はは、それはそうだね。世界の命運と個人的な因縁にケリがついたけど。ここからが長いのが人生だから。ちなみに僕は領主として島でのんびり過ごす予定だよ。これでも貴族だから、是非ともイーリン様には領地の繁栄にご助力頂きたいね」
「あんたら」
イーリンがため息を付きながら頭をかく。そのうえでそうね、と一息ついて。
「混沌に戻ったら、やることがいっぱいよ。領地の運営もそうだけど、私はもともといない人間だから。ちゃんと引き継ぎして、それから旅に出たいのよ。あの世界をもう一度自分の目で見る旅を」
「さすらいの賢者イーリンってわけだ。それはいいや」
「あら、私は本気よ。私は根っこを張りすぎたんだから。自分の命だけを持って旅する。それが贅沢になっちゃったんだから」
「そうだね、私はアイドルをしながら皆と楽しく過ごせれば良いやって思うけど。イーリンは、ずっと我慢してたんだ」
「それも違うかしら」
レイリーの言葉にイーリンはううんと唸りながらワインを一口。バゲットを一つ摘んで考える。
「我慢はしてない、全部私が選んだことだから。ただ、その上に運命だの宿命だのがいっぱい乗っかってきただけで。それがあっても、願望器として空を飛べそうな気がしていたの。だったら、今ならそれが全部なくなっていたら」
レイリーと、メリッカの二人を見て微笑む。
「私は、どこまで行けるんだろうって。人生半分も生きてないんだもの。ねぇ、ここから新しく恋をしてもいいし。元の世界で同じように冒険をしてもいい。隠居してもいいし、世直しの旅をしてもいい。あるいは、自分だけの迷宮を作り上げたっていい。ねえ、これって子供っぽい幻想かしら」
「いや、それは幻想じゃないね」
メリッカがそれを聞いて、満足そうに頷く。
「そうよ、現実にできる夢がいっぱい広がっているのよ。あれだわ、知識の海岸だったかしら。自分の人生はずっとキラキラの貝を拾っていたっていう。イーリンの望むままに拾っていいのよ、これからも」
「ああ、聞いたことがあるかも」
「私も聞いたことがあるわね」
酔いが回り、けらけらと三人が笑う。良い、良い。
幸せをどう選んだっていいなんて、これ以上良いことなんて無い。
それから三人は結婚はいつまで、子供は何人欲しい。子供に手を出してはいけないだのたくさんの話をした。
酒で大半のことは翌日には忘れているだろうけれど。でも、少なくとも。
幸せな道を選ぼう、と約束したことだけは覚えている。
愛してるとか、そんな言葉を誰かが言ったかもしれない。
だってやっと終わったんだ。今はそれでいいじゃないか、と。
『成否:成功』
「イーリンと私達の将来のこと」
「誤解を招く言い方をしないでほしいわね」
「間違ってないでしょう別に。イーリンが混沌世界で幸せを望むなら、そこに私達がいないっていうのは道理が通らないと思うわ、ねえメリッカ」
「はは、それはそうだね。世界の命運と個人的な因縁にケリがついたけど。ここからが長いのが人生だから。ちなみに僕は領主として島でのんびり過ごす予定だよ。これでも貴族だから、是非ともイーリン様には領地の繁栄にご助力頂きたいね」
「あんたら」
イーリンがため息を付きながら頭をかく。そのうえでそうね、と一息ついて。
「混沌に戻ったら、やることがいっぱいよ。領地の運営もそうだけど、私はもともといない人間だから。ちゃんと引き継ぎして、それから旅に出たいのよ。あの世界をもう一度自分の目で見る旅を」
「さすらいの賢者イーリンってわけだ。それはいいや」
「あら、私は本気よ。私は根っこを張りすぎたんだから。自分の命だけを持って旅する。それが贅沢になっちゃったんだから」
「そうだね、私はアイドルをしながら皆と楽しく過ごせれば良いやって思うけど。イーリンは、ずっと我慢してたんだ」
「それも違うかしら」
レイリーの言葉にイーリンはううんと唸りながらワインを一口。バゲットを一つ摘んで考える。
「我慢はしてない、全部私が選んだことだから。ただ、その上に運命だの宿命だのがいっぱい乗っかってきただけで。それがあっても、願望器として空を飛べそうな気がしていたの。だったら、今ならそれが全部なくなっていたら」
レイリーと、メリッカの二人を見て微笑む。
「私は、どこまで行けるんだろうって。人生半分も生きてないんだもの。ねぇ、ここから新しく恋をしてもいいし。元の世界で同じように冒険をしてもいい。隠居してもいいし、世直しの旅をしてもいい。あるいは、自分だけの迷宮を作り上げたっていい。ねえ、これって子供っぽい幻想かしら」
「いや、それは幻想じゃないね」
メリッカがそれを聞いて、満足そうに頷く。
「そうよ、現実にできる夢がいっぱい広がっているのよ。あれだわ、知識の海岸だったかしら。自分の人生はずっとキラキラの貝を拾っていたっていう。イーリンの望むままに拾っていいのよ、これからも」
「ああ、聞いたことがあるかも」
「私も聞いたことがあるわね」
酔いが回り、けらけらと三人が笑う。良い、良い。
幸せをどう選んだっていいなんて、これ以上良いことなんて無い。
それから三人は結婚はいつまで、子供は何人欲しい。子供に手を出してはいけないだのたくさんの話をした。
酒で大半のことは翌日には忘れているだろうけれど。でも、少なくとも。
幸せな道を選ぼう、と約束したことだけは覚えている。
愛してるとか、そんな言葉を誰かが言ったかもしれない。
だってやっと終わったんだ。今はそれでいいじゃないか、と。
『成否:成功』
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【偽シナ】彼女に最後に残るもの
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