ギルドスレッド
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文化保存ギルド
「盛りすぎだろ」
「何が」
その上で低身長で愛らしい外見。まぁ確かにコレが頑張ってるのを見たら自分もやらなきゃ支えなくちゃってコロっと行く連中がいるのもわかる。
「なんでもねぇよ」
はぁ、と盛大なため息をつくねいなに。イーリンはふーん、と目を宙にやった。なんだか、クラスで浮いてる奴がいるからちょっと声をかけてやるかってクラスの一軍が隣りにいるみたいな。なんとも微妙な気分になった。
「ああもう、とにかくさぁ。お前この件が終わったらどうするんだよ。混沌世界に戻るっつってたけど。この世界だったらもっとラクに過ごせんだろ。六年間も死闘の中で戻って来るためのよすがになる連中だったら、それ置いて旅に出るなんてそれ相応の理由があんだろ」
それを振り払うようにまくしたてる。
紅い瞳が、やっとねいなを向いた。自分の胸よりも身長が低いせいで紫のアホ毛しかさっきまで見えなかった。
「わかんないかしら」
「わかんないね。アタシはまぁ、やることがいっぱいあるさ。デブの墓がある天空城にオリーブオイルぶっかけてやって。それから幻想と鉄帝の国境にちょっかいかけて」
「あーそれやめたほうが良いわよ。国境の安定化と言えば聞こえは良いけど、実態は北方戦線の守護者であるザーバ派は戦線維持のための兵力しか残ってないし消極派。幻想北部の青薔薇一族は内乱で壊滅状態。北進も南進も体力がない、どっちも」
ねいなの目を見たまま、世間話のように戦線を語るのは、彼女がねいな以上の戦争屋だったからだろうか。
「てめぇ、だからちょっかいかける隙があるんだろ。どちらかが軍備増強に走ったりして、ちょっとバランスが崩れればそこで」
「ザーバ以外の精兵も人類連合軍として戦いで大損害を被ったから、少なくともこの先五年は戦争はどう考えても無理よ。やるなら十年単位で計画を練るべきね、もっとも」
「十年程度ならローレットが黙っちゃいないってか」
そういうこと、と子供を諭すような言い方に、ねいなの鼻が猛烈についた。
「もしかして、喧嘩売ってるのか」
「さあ、どうかしら。でも一つ言えるのは」
ねいなの左目に、一瞬白い半透明な女の腕が伸びる。イヤな懐かしさが胸をよぎったと思う間もなく、膝から地面に崩れ落ちるように引っ張られる。
反射的に伸ばす左腕、首を絞められると戦争屋としての勘が働くが、その白い腕は幻覚。今度はイーリンの本物の、乙女の手が首元を掴むと草原の上に引き倒した。カップを片手にもったまま、ねいなの上に跨るようにして両膝がねいなの肘の上に乗せられ。制圧される。
てめぇ、と言う間もなくイーリンの顔が眼前に迫る。
「私はあんたみたいなのは嫌いじゃないわ。平和が恐ろしいのはわかるけど」
びちゃびちゃ、ねいなの顔の横の地面をカップの中のコーヒーが叩く。このまま首を折ってコーヒーじゃなくて血を流させてやってもよかったんだぞ、というように。
「おっぱじめるなら声かけなさい。その時は私が面倒見てあげる」
ねいなの心中に渦巻く感情を啜るように、月光を背負った女は笑った。
相手の狂気を、恐怖を、あるいは怒りを、この女は見透かしたらこれみよがしに啜る。なるほどこれが一軍の将か、とねいなは獰猛な笑みを浮かべる。
「上等だ、やりてぇことがあるから戻るってんなら。それで十分だ」
「ええ、それはそう。それで」
「あん、なんだよ」
「この拘束を解いてほしかったら、もうちょっと貴方の事を聞きたいわ」
「アタシの話は後で良いんだよ。もっとムーディな方がな」
「ベッドの上で、香炉を焚いて聞いたほうがいい」
「ほざけ」
「あともう一個」
「何だよ」
「美咲の死体に私は興味はないわ、私」
「人の気遣いを無碍にするんじゃねぇよ」
体重差と力任せに制圧されて痛む関節ごと押し返して、イーリンを剥ぎ取る。素早く起き上がったねいなは言う。
イーリンは楽しげに笑った。
「安心なさいよ。私は誰かを代替品に扱ったりなんてしないから」
「それはアタシを食うってことか」
「あら、意外と乙女なのね」
「てめぇは」
その夜から王都につくまで、ねいなはイーリンに合計十回くらい投げ飛ばされた。
なお、その話をしたら大体ねいなが同情された。とんでもない女だ。
『成否:成功』
「何が」
その上で低身長で愛らしい外見。まぁ確かにコレが頑張ってるのを見たら自分もやらなきゃ支えなくちゃってコロっと行く連中がいるのもわかる。
「なんでもねぇよ」
はぁ、と盛大なため息をつくねいなに。イーリンはふーん、と目を宙にやった。なんだか、クラスで浮いてる奴がいるからちょっと声をかけてやるかってクラスの一軍が隣りにいるみたいな。なんとも微妙な気分になった。
「ああもう、とにかくさぁ。お前この件が終わったらどうするんだよ。混沌世界に戻るっつってたけど。この世界だったらもっとラクに過ごせんだろ。六年間も死闘の中で戻って来るためのよすがになる連中だったら、それ置いて旅に出るなんてそれ相応の理由があんだろ」
それを振り払うようにまくしたてる。
紅い瞳が、やっとねいなを向いた。自分の胸よりも身長が低いせいで紫のアホ毛しかさっきまで見えなかった。
「わかんないかしら」
「わかんないね。アタシはまぁ、やることがいっぱいあるさ。デブの墓がある天空城にオリーブオイルぶっかけてやって。それから幻想と鉄帝の国境にちょっかいかけて」
「あーそれやめたほうが良いわよ。国境の安定化と言えば聞こえは良いけど、実態は北方戦線の守護者であるザーバ派は戦線維持のための兵力しか残ってないし消極派。幻想北部の青薔薇一族は内乱で壊滅状態。北進も南進も体力がない、どっちも」
ねいなの目を見たまま、世間話のように戦線を語るのは、彼女がねいな以上の戦争屋だったからだろうか。
「てめぇ、だからちょっかいかける隙があるんだろ。どちらかが軍備増強に走ったりして、ちょっとバランスが崩れればそこで」
「ザーバ以外の精兵も人類連合軍として戦いで大損害を被ったから、少なくともこの先五年は戦争はどう考えても無理よ。やるなら十年単位で計画を練るべきね、もっとも」
「十年程度ならローレットが黙っちゃいないってか」
そういうこと、と子供を諭すような言い方に、ねいなの鼻が猛烈についた。
「もしかして、喧嘩売ってるのか」
「さあ、どうかしら。でも一つ言えるのは」
ねいなの左目に、一瞬白い半透明な女の腕が伸びる。イヤな懐かしさが胸をよぎったと思う間もなく、膝から地面に崩れ落ちるように引っ張られる。
反射的に伸ばす左腕、首を絞められると戦争屋としての勘が働くが、その白い腕は幻覚。今度はイーリンの本物の、乙女の手が首元を掴むと草原の上に引き倒した。カップを片手にもったまま、ねいなの上に跨るようにして両膝がねいなの肘の上に乗せられ。制圧される。
てめぇ、と言う間もなくイーリンの顔が眼前に迫る。
「私はあんたみたいなのは嫌いじゃないわ。平和が恐ろしいのはわかるけど」
びちゃびちゃ、ねいなの顔の横の地面をカップの中のコーヒーが叩く。このまま首を折ってコーヒーじゃなくて血を流させてやってもよかったんだぞ、というように。
「おっぱじめるなら声かけなさい。その時は私が面倒見てあげる」
ねいなの心中に渦巻く感情を啜るように、月光を背負った女は笑った。
相手の狂気を、恐怖を、あるいは怒りを、この女は見透かしたらこれみよがしに啜る。なるほどこれが一軍の将か、とねいなは獰猛な笑みを浮かべる。
「上等だ、やりてぇことがあるから戻るってんなら。それで十分だ」
「ええ、それはそう。それで」
「あん、なんだよ」
「この拘束を解いてほしかったら、もうちょっと貴方の事を聞きたいわ」
「アタシの話は後で良いんだよ。もっとムーディな方がな」
「ベッドの上で、香炉を焚いて聞いたほうがいい」
「ほざけ」
「あともう一個」
「何だよ」
「美咲の死体に私は興味はないわ、私」
「人の気遣いを無碍にするんじゃねぇよ」
体重差と力任せに制圧されて痛む関節ごと押し返して、イーリンを剥ぎ取る。素早く起き上がったねいなは言う。
イーリンは楽しげに笑った。
「安心なさいよ。私は誰かを代替品に扱ったりなんてしないから」
「それはアタシを食うってことか」
「あら、意外と乙女なのね」
「てめぇは」
その夜から王都につくまで、ねいなはイーリンに合計十回くらい投げ飛ばされた。
なお、その話をしたら大体ねいなが同情された。とんでもない女だ。
『成否:成功』
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【偽シナ】彼女に最後に残るもの
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