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文化保存ギルド
【第二章 第一節】
●旅路
食事を終えた後、馬車は揺れる。
御者のノルンの横にはネームレスが座り、街道の先を見つめる。
馬車の上には与一が胡座をかいて座り、耳をそばだてている。
馬車の中では疲労困憊だったキキモラとブレイブが眠り、フォルトゥナリアが異常がないか見ている。
そして馬車の後ろではエマが腰を掛けて後方に視界を向け、殿としてレイリーが愛馬と共に歩んでいる。
少し先では雲雀が淡々と進路確保と連絡を繰り返してくれている。
宝剣奪取の連絡からしばらく。
町を大混乱に陥れた後にうまく撒いた志、メリッカ、ねいな、エクスマリア、武器商人も間もなく合流する。
「なんていうか」
エマが馬車の中で眠っているゲストを起こさないように小声で呟くと。その続きを与一が紡ぐように言った。
「平和ですねぇ」
聞こえているであろうネームレスは、それを咎めなかった。
実際イレギュラーズを止める手段は、神の手かさもなくば国の総力戦による消耗戦に持ち込むかの二択であり、それは彼らが幾度となく挑んだ決戦にも似た行為。
しかしそれをする理由も、時間も、足りない。
終わるまでは油断できない。しかし今は力を抜いても大丈夫。修羅場をくぐったからこそ分かる小休止の時間。
「ん、あれかしら」
レイリーが視線を向けると、ファミリアが先行して飛んでくる。姿を見せて大丈夫かと連絡に頷くと。
「ヌゥー」
レイリーの愛馬の尻の上に、幸潮が降ってきた。悲鳴を上げることも暴れることもしないのは、愛馬の度胸が座りすぎているのか。
「我をメッセンジャーボーイとして使いやがって、許せぬ」
選択の時はそうやって、あっさりと訪れた。
●泥濘
最初にこの世界に来た時、自分はやり直せるのだと思った。
最初に依頼が与えられ時、自分は運命から逃れられないのだと思った。
最初に騎兵隊を率いた時、自分は厄介なことばかり押し付けられるものだと思った。
最初に友達ができた時、自分はこの世界で生きていても良いと思った。
最初に友達を失った時、自分は全身全霊で戦い抜こうと思った。
最初に
最初に
最初に
幾度もの最初を超えて。長い長い戦いの果てに。願いを叶えるだけの願望器になるというのは、凡人の自分にとっては甘いささやきだった。
何よりもそれを、自分で終わらせられるというのは安心だった。
最後に皆と一緒に居られると約束されていればこそ、途中で倒れても悔いはないと思っていた。
だから、いつからだろう。
この世界で恋をした時からか、愛を振りまいた時か、あるいはどこかで誰かが、私のために命を散らした時からか。
くだらない欲望が、私の中で渦巻いたのは。
全員で生きて。帰ってこれたのなら。
そう思えば、自分の体が願望を成就させる器に成り果てていくのを。それを止めるために肉に針を幾度も突き立てるような薬を常用する事を。
絶望的とも言える戦場に、ついてきてくれる皆に笑顔を向けることも。
悪くないと。
「――」
意識が温かい泥の中に溶けていくような感覚。ここ数年は、眠る時はいつもこうだ。次はあがってこれないのではと感じる、甘い死の感触。
その度に、痛みで、あるいは思い出が、自分の中の波濤が、目的が、自分をもう一度形作る。
自分の中の熱が、残り火が泥を冷たいと思わせる。
それが、燃え尽きる刹那まで。
だからこの眠りからも、また起きて(生きて)これたのなら――
●選択
ハッピーエンドは確約されました。
皆様に2つの選択肢が提示されています。
選択の上、何をしたいか、あるいは彼女への思いをご記入ください。
1・彼女の目を開く
本偽シナにイーリン・ジョーンズが参加します。
残りの章で、彼女とともに旅をする事ができます。
ただし、彼女が目を開いた段階で一騎当千補正が消失し、世界へ干渉する力は彼女に集約されます。これにより、ハッピーエンドの内容をイーリンに完全に託す事になります。
2・彼女の目を閉じる
本偽シナが終了するまでイーリン・ジョーンズは参戦しません。
残りの章で、一騎当千補正などをそのままに、ハッピーエンドの内容を強力に皆さんで変更する事ができます。
プレイングは今回【300文字】で【1】か【2】を選択の上送付してください。
締め切りは【2025年1月27日18時】までとなります。
制限時間がかなり短いです。ご注意ください。
●旅路
食事を終えた後、馬車は揺れる。
御者のノルンの横にはネームレスが座り、街道の先を見つめる。
馬車の上には与一が胡座をかいて座り、耳をそばだてている。
馬車の中では疲労困憊だったキキモラとブレイブが眠り、フォルトゥナリアが異常がないか見ている。
そして馬車の後ろではエマが腰を掛けて後方に視界を向け、殿としてレイリーが愛馬と共に歩んでいる。
少し先では雲雀が淡々と進路確保と連絡を繰り返してくれている。
宝剣奪取の連絡からしばらく。
町を大混乱に陥れた後にうまく撒いた志、メリッカ、ねいな、エクスマリア、武器商人も間もなく合流する。
「なんていうか」
エマが馬車の中で眠っているゲストを起こさないように小声で呟くと。その続きを与一が紡ぐように言った。
「平和ですねぇ」
聞こえているであろうネームレスは、それを咎めなかった。
実際イレギュラーズを止める手段は、神の手かさもなくば国の総力戦による消耗戦に持ち込むかの二択であり、それは彼らが幾度となく挑んだ決戦にも似た行為。
しかしそれをする理由も、時間も、足りない。
終わるまでは油断できない。しかし今は力を抜いても大丈夫。修羅場をくぐったからこそ分かる小休止の時間。
「ん、あれかしら」
レイリーが視線を向けると、ファミリアが先行して飛んでくる。姿を見せて大丈夫かと連絡に頷くと。
「ヌゥー」
レイリーの愛馬の尻の上に、幸潮が降ってきた。悲鳴を上げることも暴れることもしないのは、愛馬の度胸が座りすぎているのか。
「我をメッセンジャーボーイとして使いやがって、許せぬ」
選択の時はそうやって、あっさりと訪れた。
●泥濘
最初にこの世界に来た時、自分はやり直せるのだと思った。
最初に依頼が与えられ時、自分は運命から逃れられないのだと思った。
最初に騎兵隊を率いた時、自分は厄介なことばかり押し付けられるものだと思った。
最初に友達ができた時、自分はこの世界で生きていても良いと思った。
最初に友達を失った時、自分は全身全霊で戦い抜こうと思った。
最初に
最初に
最初に
幾度もの最初を超えて。長い長い戦いの果てに。願いを叶えるだけの願望器になるというのは、凡人の自分にとっては甘いささやきだった。
何よりもそれを、自分で終わらせられるというのは安心だった。
最後に皆と一緒に居られると約束されていればこそ、途中で倒れても悔いはないと思っていた。
だから、いつからだろう。
この世界で恋をした時からか、愛を振りまいた時か、あるいはどこかで誰かが、私のために命を散らした時からか。
くだらない欲望が、私の中で渦巻いたのは。
全員で生きて。帰ってこれたのなら。
そう思えば、自分の体が願望を成就させる器に成り果てていくのを。それを止めるために肉に針を幾度も突き立てるような薬を常用する事を。
絶望的とも言える戦場に、ついてきてくれる皆に笑顔を向けることも。
悪くないと。
「――」
意識が温かい泥の中に溶けていくような感覚。ここ数年は、眠る時はいつもこうだ。次はあがってこれないのではと感じる、甘い死の感触。
その度に、痛みで、あるいは思い出が、自分の中の波濤が、目的が、自分をもう一度形作る。
自分の中の熱が、残り火が泥を冷たいと思わせる。
それが、燃え尽きる刹那まで。
だからこの眠りからも、また起きて(生きて)これたのなら――
●選択
ハッピーエンドは確約されました。
皆様に2つの選択肢が提示されています。
選択の上、何をしたいか、あるいは彼女への思いをご記入ください。
1・彼女の目を開く
本偽シナにイーリン・ジョーンズが参加します。
残りの章で、彼女とともに旅をする事ができます。
ただし、彼女が目を開いた段階で一騎当千補正が消失し、世界へ干渉する力は彼女に集約されます。これにより、ハッピーエンドの内容をイーリンに完全に託す事になります。
2・彼女の目を閉じる
本偽シナが終了するまでイーリン・ジョーンズは参戦しません。
残りの章で、一騎当千補正などをそのままに、ハッピーエンドの内容を強力に皆さんで変更する事ができます。
プレイングは今回【300文字】で【1】か【2】を選択の上送付してください。
締め切りは【2025年1月27日18時】までとなります。
制限時間がかなり短いです。ご注意ください。
キャラクターを選択してください。
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【偽シナ】彼女に最後に残るもの
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