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文化保存ギルド
【第一章 第八節】
『参加者:夢野 幸潮(p3p010573)』
「むむっ」
幸潮が自らのギフトのリミッターが解除されていることを確認して実行しようとした『悪事』は阻まれた。地の底より虚栄の悪魔が宝剣を求めその声を上げる。自由に書き足される物語はイーリンの神としての役割を否定する。
「そのために少し色香の一つでも出すつもりであったのだが」
目を開けば茶会の席から自分は立っておらず。対面には呆れた顔の少女、マーリンが座っている。
「おおい、危ないな君。自分が誰の権能でここに来ているのかわかっているのかい」
「わかっているさ、我らが勇者様。イーリンの権能だ。それを内側から否定し、神としての権能を自壊させてしまえば、残るのは只人のイーリンだ。違うのか」
二人だけの空間は、今はひどく概念的で観念的だ。
「それで正しい。しかし物事に順序はある。君の手段は少し拙速にすぎる」
「人様に好き放題やれと言っておいてそれはないのではないかぁ」
幸潮がうーん、と目を丸くしながら首を傾げ、マーリンを見つめる。威嚇である。
マーリンは文字通りミルクで茶を濁しながらため息を付く。
「君、ゲームとか一度始めると死ぬほどやり込むタイプだろ」
「うるせぇペンぶつけんぞ」
自分の本体である万年筆も、この空間なら仮初であると宣言しながら幸潮が言う。
「だからお待ちよ。ハッピーエンドの定義がまだ完全に終わってないだろう」
「勇者パーティの帰還と宝剣の奪還。それで万事うまく行くといったのは貴様であろう」
威嚇の姿勢のまま幸潮は言葉で詰め寄る。
「それは事実だよ。しかしハッピーエンドにどう彩りをつけるかまで至っていないだろう」
「一つ、イーリンは死の運命をなくす。二つ、勇者パーティの全員生存。イーリン本人の最後の選択が宙ぶらりんになることくらいわかっておるわ。もったいぶったテクスチャを引っ剥がしてやろうか」
「そういうのは次の章に持ち越してほしいんだがね」
時間がないのはお互い同じか、とマーリンはカップに口をつけた。
花畑に、少し風が吹く。
「宝剣は奪取され、勇者たちは帰路につく。これはもう既定路線だ。君たち英雄の手によってそれは成され。間もなく死の運命は覆される」
幸潮は椅子に座り直し、自分の茶を自分で淹れる。
「君たちには二つ選択肢がある。『彼女にこの世界で目を開けてもらい、一緒に旅をする』か『彼女に目を閉じて居て貰って、君たちだけで最後まで完遂するか』だ」
幸潮は首を逆側にかしげる。
「それ、何が違うんだ」
「大違いだよ」
彼女に目を開けてもらえば『最初で最後の、君たちを含めて全員でこの世界を旅することができる』
彼女に目を閉じてもらえば『ハッピーエンドが確定したこの世界を自由に改ざんすることができる』
「それ別エンドって言わねぇか」
「さらなる敵を求めるなら後者を選んで敵を作れば良い。ちょうど神をブン殴りたい人もいるようだしね」
「それにイーリンの願望器問題はどうなるんだ」
「それは『彼女が望めば解決できる問題にまで落ちる』のさ。死の運命は彼女の心に立てられた楔。神々の恐れそのもの。そして彼女自身が持った『竜の玉』問題というわけさ」
即ち、とマーリンは指を立てる。
「彼女が全能の神としての力を捨てると信じるなら、目を開けてもらえば良い。外堀を君たちで完全に埋めるなら、目を閉じてもらえば良い」
「バイアスかけすぎだろ貴様」
幸潮は両手を上げて、ため息を付いた。
『成否:成功?』
『参加者:夢野 幸潮(p3p010573)』
「むむっ」
幸潮が自らのギフトのリミッターが解除されていることを確認して実行しようとした『悪事』は阻まれた。地の底より虚栄の悪魔が宝剣を求めその声を上げる。自由に書き足される物語はイーリンの神としての役割を否定する。
「そのために少し色香の一つでも出すつもりであったのだが」
目を開けば茶会の席から自分は立っておらず。対面には呆れた顔の少女、マーリンが座っている。
「おおい、危ないな君。自分が誰の権能でここに来ているのかわかっているのかい」
「わかっているさ、我らが勇者様。イーリンの権能だ。それを内側から否定し、神としての権能を自壊させてしまえば、残るのは只人のイーリンだ。違うのか」
二人だけの空間は、今はひどく概念的で観念的だ。
「それで正しい。しかし物事に順序はある。君の手段は少し拙速にすぎる」
「人様に好き放題やれと言っておいてそれはないのではないかぁ」
幸潮がうーん、と目を丸くしながら首を傾げ、マーリンを見つめる。威嚇である。
マーリンは文字通りミルクで茶を濁しながらため息を付く。
「君、ゲームとか一度始めると死ぬほどやり込むタイプだろ」
「うるせぇペンぶつけんぞ」
自分の本体である万年筆も、この空間なら仮初であると宣言しながら幸潮が言う。
「だからお待ちよ。ハッピーエンドの定義がまだ完全に終わってないだろう」
「勇者パーティの帰還と宝剣の奪還。それで万事うまく行くといったのは貴様であろう」
威嚇の姿勢のまま幸潮は言葉で詰め寄る。
「それは事実だよ。しかしハッピーエンドにどう彩りをつけるかまで至っていないだろう」
「一つ、イーリンは死の運命をなくす。二つ、勇者パーティの全員生存。イーリン本人の最後の選択が宙ぶらりんになることくらいわかっておるわ。もったいぶったテクスチャを引っ剥がしてやろうか」
「そういうのは次の章に持ち越してほしいんだがね」
時間がないのはお互い同じか、とマーリンはカップに口をつけた。
花畑に、少し風が吹く。
「宝剣は奪取され、勇者たちは帰路につく。これはもう既定路線だ。君たち英雄の手によってそれは成され。間もなく死の運命は覆される」
幸潮は椅子に座り直し、自分の茶を自分で淹れる。
「君たちには二つ選択肢がある。『彼女にこの世界で目を開けてもらい、一緒に旅をする』か『彼女に目を閉じて居て貰って、君たちだけで最後まで完遂するか』だ」
幸潮は首を逆側にかしげる。
「それ、何が違うんだ」
「大違いだよ」
彼女に目を開けてもらえば『最初で最後の、君たちを含めて全員でこの世界を旅することができる』
彼女に目を閉じてもらえば『ハッピーエンドが確定したこの世界を自由に改ざんすることができる』
「それ別エンドって言わねぇか」
「さらなる敵を求めるなら後者を選んで敵を作れば良い。ちょうど神をブン殴りたい人もいるようだしね」
「それにイーリンの願望器問題はどうなるんだ」
「それは『彼女が望めば解決できる問題にまで落ちる』のさ。死の運命は彼女の心に立てられた楔。神々の恐れそのもの。そして彼女自身が持った『竜の玉』問題というわけさ」
即ち、とマーリンは指を立てる。
「彼女が全能の神としての力を捨てると信じるなら、目を開けてもらえば良い。外堀を君たちで完全に埋めるなら、目を閉じてもらえば良い」
「バイアスかけすぎだろ貴様」
幸潮は両手を上げて、ため息を付いた。
『成否:成功?』
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【偽シナ】彼女に最後に残るもの
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