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文化保存ギルド
【第一章 第二節】
『参加者:レイリー=シュタイン(p3p007270)ノルン・アレスト(p3p008817)エマ(p3p000257)』
「ああ、昔イー……馬の骨さんが言ってましたねぇ。元の世界に仲間を残してるとか、必死に頭を下げて機会を得たとか。本当に、これがそうなんですね。あだっ」
整地されていない森を馬車が疾駆する。本来はありえない速度で、文字通り木々の間を縫うように。ただ乗り心地までは修正していないらしい、エマは尻への衝撃で舌を噛みそうになる。
「イーリンさんの執着、あるいは心残りがこれを成したのかもしれませんね。だって最後まで話してくれませんでしたから。あの人らしいですね」
詰め込んだ医療品が割れたりしないように気を配りながらノルンは言った。
二人の間に、困った人ですねぇ、と言いたげな空気が一瞬流れる。他人にわがままを押し付けて、あれこれ引っ張り回して動き回るけど、いつでも自分は後回し。ある意味それは彼女の『罰≒怠惰』なのだろうか。
「マーリンには感謝しなくちゃね。多分、イーリンだけじゃ運命を変えようって決めきらなかったから。ん、与一がもう始めてる」
森の木々を縫い、地面をえぐる暴風のような矢が四方八方へと飛んでいる。
馬車の御者だったレイリーが、並走していた愛馬の背に飛び乗る。その一言で一転して三人は「この世界で今最強の戦士たち」に空気が変わる。
ノルンは馬車の御者席に座り、フォルトゥナリアから受け取ったファミリアに戦闘開始の連絡を入れる。
エマはすんと鼻を鳴らすと「大急ぎで行くべき現場」を嗅ぎつけた。それじゃ後で、と言うと荷台から飛び降り、音もなく木々の中に消えていった。
各々が成せる最善を、一つの目的の下に行う。
そしてただの一度も、彼らは違えたことはない。
ブレイブという青年は、イーリンよりずっと強かった。剣も、神の祝福も、頭の回転も人より優れていた。ただ、いつも作戦はイーリンのものに従っていた。それはただ怠惰だったのではない、知識で負けていたから。そしてパーティのリーダーはキキモラにまかせていた。彼女の笑顔は、いつだって個性の強い四人を纏めていたから。任せるべきを任せる器量は彼にはあった。そして、いつかそれを越えるという野心があった。いつだって、彼の前にある全ては「超えて見せる壁」だと思っていた。
しかし、これはどうだ。
「私の名はレイリー=シュタイン! 親愛なる人の運命を変えるためただいま参上!」
隆々たる馬体にまたがった、豪華絢爛たる白亜の騎士。美しく声を張り上げ、月光がステンドグラスの如く光を降り注がせる。
自分たちを目当てに来たアサシン達が、少なくとも「自分たちでさえ油断すれば一度に首を落とされるやもしれぬ相手」が、視線を奪われている。
「最後まで私が立っている限り。彼らには指一本触れさせないから」
構えた槍が敵意を向けている。それを理解した刹那、アサシン達は躊躇わず剣を、毒を塗った短剣を、呪を、魔術の矢を撃ち放った。
それは、ついぞ彼女の白を曇らせることは叶わなかったが。
『参加者:レイリー=シュタイン(p3p007270)ノルン・アレスト(p3p008817)エマ(p3p000257)』
「ああ、昔イー……馬の骨さんが言ってましたねぇ。元の世界に仲間を残してるとか、必死に頭を下げて機会を得たとか。本当に、これがそうなんですね。あだっ」
整地されていない森を馬車が疾駆する。本来はありえない速度で、文字通り木々の間を縫うように。ただ乗り心地までは修正していないらしい、エマは尻への衝撃で舌を噛みそうになる。
「イーリンさんの執着、あるいは心残りがこれを成したのかもしれませんね。だって最後まで話してくれませんでしたから。あの人らしいですね」
詰め込んだ医療品が割れたりしないように気を配りながらノルンは言った。
二人の間に、困った人ですねぇ、と言いたげな空気が一瞬流れる。他人にわがままを押し付けて、あれこれ引っ張り回して動き回るけど、いつでも自分は後回し。ある意味それは彼女の『罰≒怠惰』なのだろうか。
「マーリンには感謝しなくちゃね。多分、イーリンだけじゃ運命を変えようって決めきらなかったから。ん、与一がもう始めてる」
森の木々を縫い、地面をえぐる暴風のような矢が四方八方へと飛んでいる。
馬車の御者だったレイリーが、並走していた愛馬の背に飛び乗る。その一言で一転して三人は「この世界で今最強の戦士たち」に空気が変わる。
ノルンは馬車の御者席に座り、フォルトゥナリアから受け取ったファミリアに戦闘開始の連絡を入れる。
エマはすんと鼻を鳴らすと「大急ぎで行くべき現場」を嗅ぎつけた。それじゃ後で、と言うと荷台から飛び降り、音もなく木々の中に消えていった。
各々が成せる最善を、一つの目的の下に行う。
そしてただの一度も、彼らは違えたことはない。
ブレイブという青年は、イーリンよりずっと強かった。剣も、神の祝福も、頭の回転も人より優れていた。ただ、いつも作戦はイーリンのものに従っていた。それはただ怠惰だったのではない、知識で負けていたから。そしてパーティのリーダーはキキモラにまかせていた。彼女の笑顔は、いつだって個性の強い四人を纏めていたから。任せるべきを任せる器量は彼にはあった。そして、いつかそれを越えるという野心があった。いつだって、彼の前にある全ては「超えて見せる壁」だと思っていた。
しかし、これはどうだ。
「私の名はレイリー=シュタイン! 親愛なる人の運命を変えるためただいま参上!」
隆々たる馬体にまたがった、豪華絢爛たる白亜の騎士。美しく声を張り上げ、月光がステンドグラスの如く光を降り注がせる。
自分たちを目当てに来たアサシン達が、少なくとも「自分たちでさえ油断すれば一度に首を落とされるやもしれぬ相手」が、視線を奪われている。
「最後まで私が立っている限り。彼らには指一本触れさせないから」
構えた槍が敵意を向けている。それを理解した刹那、アサシン達は躊躇わず剣を、毒を塗った短剣を、呪を、魔術の矢を撃ち放った。
それは、ついぞ彼女の白を曇らせることは叶わなかったが。
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【偽シナ】彼女に最後に残るもの
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