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【幕間】水天宮 妙見子(p3p010644)へ その1

●2023年 某月 某日

 豊穣のある神社に、彼女は祈りを捧げていた。
 神である貴方は至ってシンプルで、同時にその邪念の無さに少し困惑しただろう。

 どうか、皆無事に帰られますように。

 それは身に纏っている物々しい鎧とは、正反対だからだ。
 鎧が半身に集中しているのは、徒歩では猛攻を受けるために。馬上では、利き腕に持った戦旗とで重量が左右乱れないように。
 兜ではなくゴーグルと翼飾りなのは、その輝く髪が戦場で健在であることを知らしめるために。
 恐ろしく不安定な装備は、恐ろしく合理的でもあった。
 それは自分の命を、能力を、全能を戦場で駒として使うことを躊躇しないことを示している。

 彼女が日頃から、戦場の事しか考えて居なかったら。
 彼女が日頃から、自他の命を顧みなかったら。
 彼女がこうして、自分の信ずるものとは違う神に、貴方に願いを捧げたりしなかったら。

 きっとにこやかに、いつものように祝福を授けられたかもしれない。
 その命運に手を差し出そうとしたかもしれない。
 けれど彼女は、祈り終えると。

 いっそ清々しいほどに、笑みさえたたえていた。

――嗚呼。彼女が行く

<了>


【参考イラスト】
https://twitter.com/Tamiko_144ppp/status/1651958355978747906?s=20

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