ギルドスレッド 文化保存ギルド 【幕間】水天宮 妙見子(p3p010644)へ その1 【流星の少女】 イーリン・ジョーンズ (p3p000854) [2023-05-06 21:44:46] ●2023年 某月 某日 豊穣のある神社に、彼女は祈りを捧げていた。 神である貴方は至ってシンプルで、同時にその邪念の無さに少し困惑しただろう。 どうか、皆無事に帰られますように。 それは身に纏っている物々しい鎧とは、正反対だからだ。 鎧が半身に集中しているのは、徒歩では猛攻を受けるために。馬上では、利き腕に持った戦旗とで重量が左右乱れないように。 兜ではなくゴーグルと翼飾りなのは、その輝く髪が戦場で健在であることを知らしめるために。 恐ろしく不安定な装備は、恐ろしく合理的でもあった。 それは自分の命を、能力を、全能を戦場で駒として使うことを躊躇しないことを示している。 彼女が日頃から、戦場の事しか考えて居なかったら。 彼女が日頃から、自他の命を顧みなかったら。 彼女がこうして、自分の信ずるものとは違う神に、貴方に願いを捧げたりしなかったら。 きっとにこやかに、いつものように祝福を授けられたかもしれない。 その命運に手を差し出そうとしたかもしれない。 けれど彼女は、祈り終えると。 いっそ清々しいほどに、笑みさえたたえていた。――嗚呼。彼女が行く<了>【参考イラスト】https://twitter.com/Tamiko_144ppp/status/1651958355978747906?s=20 →詳細検索 キーワード キャラクターID 検索する キャラクターを選択してください。 « first ‹ prev 1 next › last » 戻る
豊穣のある神社に、彼女は祈りを捧げていた。
神である貴方は至ってシンプルで、同時にその邪念の無さに少し困惑しただろう。
どうか、皆無事に帰られますように。
それは身に纏っている物々しい鎧とは、正反対だからだ。
鎧が半身に集中しているのは、徒歩では猛攻を受けるために。馬上では、利き腕に持った戦旗とで重量が左右乱れないように。
兜ではなくゴーグルと翼飾りなのは、その輝く髪が戦場で健在であることを知らしめるために。
恐ろしく不安定な装備は、恐ろしく合理的でもあった。
それは自分の命を、能力を、全能を戦場で駒として使うことを躊躇しないことを示している。
彼女が日頃から、戦場の事しか考えて居なかったら。
彼女が日頃から、自他の命を顧みなかったら。
彼女がこうして、自分の信ずるものとは違う神に、貴方に願いを捧げたりしなかったら。
きっとにこやかに、いつものように祝福を授けられたかもしれない。
その命運に手を差し出そうとしたかもしれない。
けれど彼女は、祈り終えると。
いっそ清々しいほどに、笑みさえたたえていた。
――嗚呼。彼女が行く
<了>
【参考イラスト】
https://twitter.com/Tamiko_144ppp/status/1651958355978747906?s=20