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文化保存ギルド

今夜の喋り場・その55

私の部屋、ゲストと二人で喋る場所。

正確には、貴族がこの書庫という屋敷に来た際に執務を執り行うために用意された部屋。

それも今はイーリンの自室となっている。
といっても内装は殆どいじっておらず、書斎机と来客用のソファとローテーブル。本棚と唯一追加されただろうベッド。効率を重視する彼女にとって、ワンルームマンションのようになっているのだ。

おそらく、彼女自身が掃除しているのではない。そう思える小綺麗な部屋。貴方を迎えたのはそういう部屋だ。

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子供……子供かぁ。ははっ、それはそうかもね。
知識だけなら100年以上。けれども経験は1年未満。それが僕だ。
僕には歴史がない。これは確固たる信念を持たないという弱さだ。
でも同時に、囚われるものがないという強さでもある。
人間は自分の核や本質と思っているものほど、捨てられない生き物だからね。
でも……君は違うんだってね。聞いたよ、例の話。
イーリン。君は、もしかしたら君じゃないものになるかもしれない、ってね。

うん、五感が鋭くなるように調整したら、どうしてもね。
ま、呼吸が不要で便利だった場面もあまりないし、いいかなって。
お茶請け? そうだね、チョコレートがあればそれで。

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