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文化保存ギルド

【アフターコンタクト】ある夜の出来事2

●イントロダクション

 その夜、貴方がその店を訪れたのは、ある女に招待されたからだった。ある女、というのは語弊がある言い方かもしれない。なぜなら、少なくとも死線を一度は一緒に潜った仲なのだから。
 死線というにはあまりに圧勝だったのではないだろうか。
 銃身が焼き付くことさえ無い圧倒的な補給と破壊、先陣を切る人間さえ重傷を負わない圧勝。
 それが死線?
 そんな疑問も持つかも知れない。貴方がそんな疑問を抱いたのは、もしかしたら――王都の中心街付近にある、三階の、少し見晴らしのいい――おまけに店のドアを開ける前に、向こうから開けてくるような――一見さんお断りではないのか、と思うほどに、小洒落たバーに案内されたからかもしれない。
 その中の窓際、しかも個室に案内されたところで。存外、質素なローブに身を包んだ紫髪の女が、へらへらと手を振った。


【状況】
・ヴィーグリーズ会戦にて「騎戦の勇者率」率いる「騎兵隊」は記録的大勝利を収めました
・貴方は「伝説の大軍勢」である「騎兵隊」に参戦しました
・今夜のバーは「バイト代」です
・バーは眺めが良いですし、綺麗ですし、頼めばだいたい何でも出てきます。王都で個室で窓際ということで、にぎやかな大通りが見られます。

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(あら、案外と優しいことを言ってくれるのね、と自分の罪を自覚する宣言にいいそうになるのを飲み込んでから)

「そんなもの正しいわけはないでしょう。現に勇者王でさえ死に、その遺志が形骸化していった結果がこの国(幻想)よ。だから勇者王も地獄に落ちてるでしょう。しかし、歴史という広い観点から見れば、肥沃な土地に広大な領地を持ち、形の上では転覆しない巨大国家を作り上げて、それが形はどうあれ今も続いている。それは彼の遺志が、大義が、どうあれ人を活かすのに繋がっていたという偉業よ」
 でも、聴きたいのはそこじゃないわよね、と笑って。

「私は自分の行く道を正義だなんて一度も思ったことはない。私は大義など一度も抱えたこともない。騎兵隊は私のエゴによって動かされ、それがたまたま世界の願望と合致していたに過ぎない。だから私は犠牲になるんじゃないわ。ただ、私の望んだ結末の代償を支払うだけ。だから、その先を見てくれる人間が居ようが居まいが、それは誤差よ。……こんなこと、私を心配してくれる人に聞かれたらまぁ怒られるでしょうけどね」
くすくすと、少し嬉しそうに笑った。

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