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文化保存ギルド

【アフターコンタクト】ある夜の出来事2

●イントロダクション

 その夜、貴方がその店を訪れたのは、ある女に招待されたからだった。ある女、というのは語弊がある言い方かもしれない。なぜなら、少なくとも死線を一度は一緒に潜った仲なのだから。
 死線というにはあまりに圧勝だったのではないだろうか。
 銃身が焼き付くことさえ無い圧倒的な補給と破壊、先陣を切る人間さえ重傷を負わない圧勝。
 それが死線?
 そんな疑問も持つかも知れない。貴方がそんな疑問を抱いたのは、もしかしたら――王都の中心街付近にある、三階の、少し見晴らしのいい――おまけに店のドアを開ける前に、向こうから開けてくるような――一見さんお断りではないのか、と思うほどに、小洒落たバーに案内されたからかもしれない。
 その中の窓際、しかも個室に案内されたところで。存外、質素なローブに身を包んだ紫髪の女が、へらへらと手を振った。


【状況】
・ヴィーグリーズ会戦にて「騎戦の勇者率」率いる「騎兵隊」は記録的大勝利を収めました
・貴方は「伝説の大軍勢」である「騎兵隊」に参戦しました
・今夜のバーは「バイト代」です
・バーは眺めが良いですし、綺麗ですし、頼めばだいたい何でも出てきます。王都で個室で窓際ということで、にぎやかな大通りが見られます。

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「なぁに、他に食べたい物でもあった?」
 注文の仕方で笑ったのをみて、ボーイに気にせずに適当にと言って見送り。

「自分にも厳しいけど、貴方にも厳しいわよ? 下を見ていたら、いろんなものに掬われるしね……貴方にも経験あるんじゃない? ちょっとした情とかをわかせた結果、手痛いしっぺ返しを食らうとか……あとはそうねぇ、こんなにでかくなるっていうのは本当に思わなかった」
 懐かしむように言いながら吸いかけだったタバコをまた手にとって。

「ここまでガチガチになるほうが珍しいのだけどね。そう、ガチガチに【なった】と形容すべきだわ。けれど、貴方も【やりやすかった】と言ってくれるように、ガチガチなのはあくまで、作戦の中枢とその連携を望む者だけなのよ。火力支援、回復支援がしたい、とりあえず暴れていればいい。こういう仕事がしたい。そういうったことに対して、騎兵隊はあまり否定したりしない。敷居は低く、同時に安心感のある土台を。初心者から熟練者まで、満足頂けるのが騎兵隊というわけ――そして、それを可能にしてきたのが、まぁ、良縁とそして実績ってところかしら。ローレットの【騎兵隊】貴方だって『やる気のある新人が大規模戦に迷ったら進めたくなる』んじゃない?」
 饒舌に、煙の間に、酒も入っていないのに自画自賛――のように見えるが、違うとすぐにわかるか、あるいは察してくれるだろう。彼女が述べているのは事実と、それから僅かばかりのジョークだと。

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