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文化保存ギルド
「――ということで、押しかけ弟子第一号があの子でね。まったく、ええ。私も随分な気まぐれで弟子をとっちゃったと思ってるわ。そんな立場でもないのに」
笑ってくれてる事に安心したようにぐびっとミルクをあおってから。
「修行も一応してるんだけどねぇ、あの子私がランニングとかに誘おうと脱兎のごとく逃げるから、それを捕まえるのも大変なのよ」
語るほどわかる、師匠と弟子というよりは、手のかかる親子のような。あるいは先輩後輩のような関係。少なからずその時間がイーリンにとって心地よいものだというのは、コルネリアにはありありとわかった。
「――弟子に取ろうと思った理由か。んー……」
真面目に考え出す。可愛らしい眉をひそめ、ウンウンと唸る。そうして少し経ってから、至極真剣な表情で。
「……可愛い女の子を手元においておきたかったから」
覚えていない理由を、そんなふうにごまかした。
笑ってくれてる事に安心したようにぐびっとミルクをあおってから。
「修行も一応してるんだけどねぇ、あの子私がランニングとかに誘おうと脱兎のごとく逃げるから、それを捕まえるのも大変なのよ」
語るほどわかる、師匠と弟子というよりは、手のかかる親子のような。あるいは先輩後輩のような関係。少なからずその時間がイーリンにとって心地よいものだというのは、コルネリアにはありありとわかった。
「――弟子に取ろうと思った理由か。んー……」
真面目に考え出す。可愛らしい眉をひそめ、ウンウンと唸る。そうして少し経ってから、至極真剣な表情で。
「……可愛い女の子を手元においておきたかったから」
覚えていない理由を、そんなふうにごまかした。
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その夜、その店を選んだのは、その街路の中では少し小綺麗だったからかもしれない。あるいは「もがれる野菜亭」という珍奇な名前のせいだったのかも知れない。
見た目より広い店の、案外長いカウンターの一席に、貴方は腰掛けた。その店はごろつきから冒険者風、貴方も含めて聖職者風も居る、ごった煮のような場所だった。それでも居心地が良いのは、少なくともその連中が多少なりとも弁えているからだろうか。
店主が貴方の注文を聞いて少しした後。隣、いいかしらと声がかかる。貴方が気にもかけずに居ると、その女は遠慮なく隣りに座った。
小さな背、紫の髪、紅い目、少女そのものの顔立ち。
「アイスミルク。ダブルで。あと適当にお願い」
慣れた口調で注文する彼女の姿を見た貴方を見ずに、懐から取り出した紙巻たばこを咥えようとして、彼女は貴方を見た。
「煙草、吸ってもいいかしら?」
【状況】
・ここは宿屋兼酒場「もがれる野菜亭」のカウンターです。
・貴方はたまたまそのカウンターに座っていました。
・貴方と彼女は、まだお互いのことを何も知りません。
・貴方は彼女の事を一方的に知っていても構いません。「騎戦の勇者」のパレードは、先日行われたばかりですから。