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文化保存ギルド
「……あ? あぁ、お好きにどーぞ、アタシも吸うし問題ないわ」
最初、声を掛けられた事自体に気づいていなかった。それもそうだろう、この飲んだくれ共で溢れかえっている酒場の中、知り合いでも無い自分に声を掛ける者など居ないと思っているのだから。
此方に声を発していると知覚して数秒だろうか、横目で覗きみればタールとアルコールとは縁遠そうな少女と目が合う。手に持っている煙草を見やり僅かに怪訝な表情を浮かべたが気にするだけ無駄なのだろう。この混沌という世界では。
「マスター、ジントニック」
そう長々と眺めていても仕方ない、ふと脳裏に引っかかる何処かで見た風貌、彼女への既視感を振り払い、切り替えるかのようにバーテンダーに注文を声掛けた。
最初、声を掛けられた事自体に気づいていなかった。それもそうだろう、この飲んだくれ共で溢れかえっている酒場の中、知り合いでも無い自分に声を掛ける者など居ないと思っているのだから。
此方に声を発していると知覚して数秒だろうか、横目で覗きみればタールとアルコールとは縁遠そうな少女と目が合う。手に持っている煙草を見やり僅かに怪訝な表情を浮かべたが気にするだけ無駄なのだろう。この混沌という世界では。
「マスター、ジントニック」
そう長々と眺めていても仕方ない、ふと脳裏に引っかかる何処かで見た風貌、彼女への既視感を振り払い、切り替えるかのようにバーテンダーに注文を声掛けた。
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その夜、その店を選んだのは、その街路の中では少し小綺麗だったからかもしれない。あるいは「もがれる野菜亭」という珍奇な名前のせいだったのかも知れない。
見た目より広い店の、案外長いカウンターの一席に、貴方は腰掛けた。その店はごろつきから冒険者風、貴方も含めて聖職者風も居る、ごった煮のような場所だった。それでも居心地が良いのは、少なくともその連中が多少なりとも弁えているからだろうか。
店主が貴方の注文を聞いて少しした後。隣、いいかしらと声がかかる。貴方が気にもかけずに居ると、その女は遠慮なく隣りに座った。
小さな背、紫の髪、紅い目、少女そのものの顔立ち。
「アイスミルク。ダブルで。あと適当にお願い」
慣れた口調で注文する彼女の姿を見た貴方を見ずに、懐から取り出した紙巻たばこを咥えようとして、彼女は貴方を見た。
「煙草、吸ってもいいかしら?」
【状況】
・ここは宿屋兼酒場「もがれる野菜亭」のカウンターです。
・貴方はたまたまそのカウンターに座っていました。
・貴方と彼女は、まだお互いのことを何も知りません。
・貴方は彼女の事を一方的に知っていても構いません。「騎戦の勇者」のパレードは、先日行われたばかりですから。