扉が壊れてるので扉はなく、部屋に入るとここには合わない綺麗な机と椅子が真ん中にある。
窓は所々割れていたり、抜けていたり、綺麗なものもあったりとバラバラ。

所々に赤い液が垂れた跡や赤い液がついたナイフ等が散らばってるが…彼女は、一体この部屋で何をしたのだろうか…？

部屋の端っこには花瓶を置くようの机らしきのがあり、花瓶にはドクニンジン、フクジュソウ、オダマキ、キスツク(ゴジアオイ)の花束が…。
これらの花言葉を繋げると【あなたは私を死なせる、死ぬことも惜しまない。悲しい思い出と共に愚か者の私は明日死ぬだろう。】と…自分殺しが出来ない彼女が願望として置いた花。
本すらも読めない彼女が、どこでそんな花言葉を知ったのだろうか…？

「聞、き…たい、こと…が、あれ…ば、聞け、ば…いい…」
そう言っている彼女は聞けば包み隠さず話してくれるだろう

そう……？
(小首を傾げ)

…そういう意味では、私と貴女は相容れない、敵同士、だから。

……敵、同…士………

さあ、どうする？貴女は敵である私を信じられる？好きなままでいられる？

………………邪、魔…され、たら……自分、は…君、を……殺、さな…きゃ、いけ…ない……？
(目を丸くして彼女は水城を見て)

できる？

………………今、は…無理………でも、その…時、に…なら、ない…と…わか、ら…ない……

…うん、それでいいの。
…それまで、そしてそれからも。私は貴女を全力で好きでいてあげる。

………
(小さく頷いて)

…死なせてあげないから。死んでいい命なんて、ないんだから…

………それ、は…わか、ん…ない………ない、わけ…じゃ、ない…と、思…う……

……ま、ええわ。うん

……………………たま、に…自分、が…わか、ら…ない…時、ある……

うちかてそやよ。きっと皆そうや

殺、され…たい、のに…殺、され…たく、ない……うる…さい……もう、人…殺、し…たく、ない…………
自分、は…罪、人…だか、ら……死、刑…執、行…され、た…はず、だっ…た……
(大鎌を左手で持ち、右手で頭を抑えて)

…んー……(どうしたらいいか考え、隣に腰降ろし)

それ、でも…死ね、な…かっ、た……
そし、たら……レッグ、が…殺、す…こと、を…楽、しん…で、何…が、悪い…って……

(静かに頭撫で)

人、を……殺、す…のが、楽…しい、なん…て……本、当…に、化…物、に…なっ、ちゃ…う……
(大人しく撫でられながら)

大丈夫、うちがさせへん。ずっとブラッドちゃんを、ブラッドちゃんでいさせてあげる

手が、真っ…赤に…なる、のは…もう、見、飽き…た……

うん…大丈夫。もう、人殺しなんてせんでええんやから

そう、だと……いい、とは…思、う……

…自ら選んで戦場に立つならば、また話は別やけどね

……それ、は…しな、いと…思、う……多、分…

そかそか

(小さく頷いて)

なら、そんときはうちが頑張るとしますかねー

水、城…が…？

ま、こんなんでもそれなりには戦えますしー？大切な人達守る為に、この技術あるもんやし

…そう…………

だから安心してええんやで？うちを頼ってくれてええから

…………そう、する……『約束』…守、ら…れる、まで……

…ま、その約束だけは、意地でも阻止するけど

阻止、され…ない…よう、に…する……

…絶対に阻止したる。うちは、絶対に嫌や。ブラッドちゃんが死ぬのなんか、見たくもない、知りたくもない、認めたくもない。

それ、でも…自分、が…望、んで…いる、事…だ、から……その、阻止…を、され…ない、よう…に、する…だけ……

……ああ、そうかい。…そんなら一発…目覚まさせてやろうか（立ち上がると槍と盾を手に）

自分、を…殺、す…のは…かみ、さま…に、誓…った、人…だけ………
(水城の行動に様子を見ることにし)

…くそくらえ。神なんて、人の持つ逃げの意志や。後ろめたい感情を肯定する為に作り出した幻想…
誓いが欲しいならくれてやる。ぜってぇにあんたを生かす！騎士として、貴族として、それ以前に人として！！

自分の弱さから、目逸して逃げてんじゃねーよっ！！（ぶんっと風切り音と共に槍を振るい、ブラッドの後ろの壁を穿ち）

…逃げ、て…何、が…悪、い…？………レッグ…から、逃げ…る、のは……ただ、1つ…死ぬ、こと……レッグ…は、自分…を、逃が…して、くれ…ない…………ずっ、と……………足、音…が、一つ…多、い…と、気づ…いた、時…には、ずっ…と、いる………
(ハイライトがない死んだような瞳はジッと水城を見て)

…悪いに決まってる。「生きられる」のに「死にたい」と願うのは、「生きたい」と願いながら「死んでいった」人達への冒涜だ。

もう一人の自分が怖い？だから逃げたい。…っざけんなっ！！
人殺しの罪を背負ったのが自分だけだと思うな！私だって背負っている！！
それでも、生きなければいけないと、知っているから、こうして生きている！！

…………………………神様は嘘つきや汚らわしいのは嫌い…自分は汚れてしまった………
仕方ないと思う…“自分のもの”にするには殺してから“直して”あげないと理想の自分のものにならないから……
それでも、それが“自分のもの”にならないなら自分が“かみさまのもの”になればいい…
自分は“かみさまのもの”だから、かみさまに殺してもらわなきゃ…“直して”もらわなきゃ…自分は“かみさまのもの”になれない…
でも、それは誰にも理解されない…みんな言う「イカレてる」って……それでも自分は“自分のもの”が欲しくなった…
もう、これ以上欲しくなったらかみさまに嫌われてしまう……それは困る……
レッグは確かに怖い、でも“自分のもの”にはなってくれないから…逃げたい…というよりは“かみさまのもの”になりたい…それだけ……
(深くかぶっていたフードを外してハイライトがない死んだような瞳で満面の笑みを見せて)

…ああ、イカレてる。自分のものが欲しい…？殺して直さなきゃいけない…？

じゃあ、今ここにいる私は、この世界は、お前がこの世界で出会った全てのものは、既に殺されているというのか！？
違うだろうが…殺さなくても、既に、自分だけの大切な世界、手にしてる、だろうが…！(段々と手に込めた力が抜け、目から涙流し始め)

まだ…殺されてない…殺してない……
自分の大切な世界を手にしても『理想の世界』はまだ手に入れてない……
大切と理想は違う…
でも、理想を求めたから汚れた自分は“誰かのもの”になったら赦してくれると信じてるから…
自分の理想は綺麗な自分、かみさまに認められた自分が欲しい……でも、自殺はかみさまは認めない……

……綺麗だろうが…誰かのものに、なってるだろうが…

…嫌だ…絶対に嫌だ…

……………………
(大鎌を彼女は置いて部屋の端にある引き出しに近付き)

………(背を向けて。ごすっと鈍い音)

………………ジャスパー・シェリー・ホワイト、今ここで死んだことにする………
(引き出しからリボルバーを取り出して弾を入れては呟き)

…ちょい待て。どういうつもりだ、それは