『この無辜なる混沌
　――フーリッシュ・ケイオスのどこかにある波の穏やかな入り江。
　その岬には、小さな廃教会がありました。
　誰も住んでいないと、誰もが思っていました。
　だってこんな何もない場所に、誰も、用などないのですから。

*---*
雑談という名のシュゼットの日々の綴り。
混ざっても、気にしなくても。

ん、知り合い。
知り合いって言える人も、ひさしぶり。
えっと、知り合いのときは、どうするんだったかしら。
…名前、を、聞く？（首傾げ）

そうそう、まずはお互いに自己紹介だな。
俺は銀城。銀城黒羽だ。
よろしくな。
嬢ちゃんは何て名前なんだ？

銀城、ね（何度か口の中でころころと名前を転がして）
それとも黒羽の方がいいのかしら。
わたしは、……シュゼット。
たぶん前はそう呼ばれてたから、それがわたしの名前なんだと思う。

そうか。シュゼット…良い名前じゃねぇか。
俺のことは好きなように呼んで良いぞ。

ありがと、わたしも大事な人が呼んでくれた名前だから、お気に入りよ。
（ちょっと考え）じゃあ黒羽にするわ、カッコいいから。
んーっと、…
わたしはずーっと前からここにいるって話したけど、黒羽はいくつなの？

俺か？
俺は25…だと思う。多分恐らくきっと

たぶん？（首傾げて）

あぁ、たぶん。
ここに召喚された時に記憶が全部抜け落ちたみたいでな。分かんねぇから、一応25ってことにしてんだ。

そうなの。
わからないならわたしとおんなじね。
じゃあ、わたしも２５歳ってことにしておこうかしら。

あぁ、同じだな。
って、おいおい簡単に言うねぇ。まぁ、俺のも自称だからなんも言えねぇが。
好きなようにしたら良いんじゃね？

うーん…考えるの、ニガテ。
わたしが２５歳だとおかしい？

いや…まぁ…可笑しくはねぇよ？うん。
良いんじゃねぇか？

ふふ、困ってる？

あぁ、困ってる。…って、冗談だったのか？

んー、
そんなに冗談でもないけど、黒羽がかわいかったからつい。

かわいいって…ったく、人をおちょくるんじゃねぇよ…っと(軽くデコピンをしようと)

きゃ（デコピンされた場所を押さえ）
だってかわいかったんだもの、かわいいっていいことよ。

だからかわいいかわいい言うなって。(もう一度デコピンをしようと構え)
男には普通、格好いいとか凛々しいとか言うもんじゃねぇのか？

（額をガードしつつ首傾げ）
カッコいいって言って欲しいの？

別にそういう訳じゃねぇが、かわいいよりゃマシだろ。…多分。

（ずいっと身を乗り出して顔を近付け）
黒羽はカッコいいわ、とっても。

お、おう…。いきなりだな…まぁ、ありがとよ。
…てか、近ぇよ。(押し返そうと)

（素直に押し返されて座り、なんだか満足げ）
どういたしまして。

…な～んか遊んでねぇか？俺で。

そんなことないわ、本心よ（きりりと真面目な顔をして見せ）

…まぁ、そういうことにしといてやるよ。

ふふ。
でもじゃあ、２５歳はダメみたいだからやめておくわ。
どうしようかしら。

別にダメとは言ってねぇが…まぁ、10代の範囲で好きなようにすりゃ良いんじゃねぇの？
俺から見ると、ちょうどそんな感じだしな。

ふむふむ。
わかったわ、考えておく。
今度何歳か聞かれたときはちゃんと答えられるように。

おう、そうしとけそうしとけ。
まぁ、歳を聞かれることなんざそうそうねぇとは思うがな。

（こくりと頷いて）
そういえば、おなか空かない？

ん？腹か？
まぁ、飯時だからな。少しはへってるが。
…もしかして、腹へったのか？

ごはんにしよっかなーって思ってたの、思い出したの。
…取りに行かないと無いけど。

取りに行かねぇとってお前…いつもそんな生活してんのか？

だって取りに行かないと無いでしょう？
近くの泉のところの果物か、海でおサカナ。
美味しいわ。

普通は備蓄してるもんじゃねぇか？
採れたては美味いだろうが、いちいち取りに行くのも面倒だろ。

びちく…？
んー…おなか空いたら食べに行くって感じだから。
あんまり考えたことなかった。

そ、そうか。…じゃあ、別にいいか。
備蓄ってのは、まぁ、何かを貯えておくってことだ。

ふむふむ、勉強になるわ。
黒羽は普段のごはん、どうしてるの？
備蓄してるの？

俺か？俺はまぁ、買ったり採ったりしたやつを保管して必要なときに調理してるぞ。いちいち取りに行くもの面倒だからな。

ちょうり？
…でも、そうね。取りに行くの嫌になってごはん食べるの我慢しちゃうことはあるかも。

調理ってのは、魚とか野菜果物とかを料理することだ。切ったり焼いたり、茹でたり煮たり色々な。
だろ？我慢しても腹は減るし、しっかり食わねぇと力も出ねぇ。
だから、少しでも蓄えがあるとそういった時便利なんだよ。

切ったり焼いたり…
そういえば、前にやって貰ったこと、あるわ。おりょうり。
そうね、元気はなくなっちゃうのは困るもの。
わたしもびちく、してみようかな。

おう、ちょっとずつで良いからしてみな？結構、楽になるからよ。
…て、料理してもらったことはあったのか。

ん。とりあえず、果物採って来たらやってみるわ。
うん、それももっと、ずーっとずーっと、前だけど。
そういえば、おりょうりはもっと美味しかった気がする。

ほぉ、そうだったのか。
まぁ、魚や果物もそのまま食べるより料理した方が何倍も美味しくなるからな。

黒羽はおりょうりできるの？

ん？あぁ、出来るぜ。
人並みにだがな。

ふえー…。
すごい。食べてみたいわ。

んー…作っても良いが味は保証しねぇぞ？
(イラストおめでとさん)