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旅一座【Leuchten】

【PPP2周年記念SS】旅一座ラサ公演『声をなくした男』

このSSは、本ギルドのメンバーの許可を得て、作成されたSSです。
出演メンバーは以下の通りとなっております。出演を許諾して下さってありがとうございました。
・ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)
・ジェイク・太刀川(p3p001103)
・Ring・a・Bell(p3p004269)
・Rêve=amas=Dētoiles(p3p006642)
・ノアルカイム=ノアルシエラ (p3p000046)
・Azathdo=Hgla=Thusxy(p3p005090)
・津久見・弥恵(p3p005208)
・華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
・ヴェルフェゴア・リュネット・フルール(p3p004861)
・奏者 夢現 (p3p005157)
・律・月(p3p004859)
・夜乃幻

さぁ、幕が上がります。どなたさまも瞬きを忘れませんよう。

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 舞台稽古が終わった夜、団長室には白髪に黒のメッシュが入った、頼りなさげな青年——『戦場のヴァイオリニスト』ヨタカ・アストラルノヴァ——は星空柄のヴァイオリンを抱きしめながら、頭を抱えていた。旅一座を立ち上げた団長にして、華麗なるヴァイオリニストであるヨタカ。その性格は、普段は穏やかそのもので、ヴァイオリンを聴きたいといえば、気軽に弾いてくれるのだが、舞台ではダメなのだ。どうしても色んな不安要素や、自分の演奏技術の未熟さに悲嘆してしまい、スランプに陥る。背中の白い羽を掻き毟りたくなるような、そんな衝動に駆られてならない。
(……嗚呼、舞台は作り直しと幻から聞いたし、アベルは舞台が開演までに出来るかどうか分からないと言うし、そもそも俺の演奏はこれでいいのか。チケットも完売。何百人もの客が来るというのに)
 その時、ヴァイオリンの装飾部分の星屑が光って零れる。ヨタカは何も気がついていない様子だが。
 団長室のドアをノックする音が聞こえた。ヨタカは身嗜みを整えて、なにもない風を装い、ドアを開ける。そこにいたのは、煌めく星空のような髪に宵空のような輝く瞳をもつ美しい少年——『星屑達の夢のゆめ』Rêve=amas=Dētoiles——だった。
 ヨタカは驚く。いつも自分が困った時に現れる不思議な少年なのだ。
「……Rêve、どうしたんだ……?……もう夜だし、……両親が心配してるよ……」
「お父さんとお母さんがこのテントの近くでケンカしてるから、置いてきちゃった。なんだか悲しくなっちゃって。だから、ヨタカ、またヴァイオリン聴かせてよ」
 ヨタカは逡巡した。今はスランプ状態だ。とてもまともな音楽が聴かせられる自信がない。でも、こんな小さな子を放っておくこともできない。一体自分はどうするべきなのか。
「ヨタカ、ヨタカの音楽だから聴きたいんだよ。ねぇ、聴かせてよ! 聴かせてったら、聴かせて!」
 ——ヨタカの音楽だから聴きたい
 その言葉は悩んでいたヨタカを振るい立たせた。今、自分にできる音楽を精一杯奏でるだけだ。ヴァイオリンをヨタカは勇気を出して手にとって、楽しいポルカを奏でる。ヨタカのヴァイオリンの星屑逹が煌めきを増す。
 Rêveは心底嬉しそうに拍手して、踵を返す。
「そろそろ、お父さんとお母さんが心配してるかもしれないから、ボクもう帰るね! ヨタカ、無理いってゴメンね。ありがと!」

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