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旅一座【Leuchten】

【PPP2周年記念SS】旅一座ラサ公演『声をなくした男』

このSSは、本ギルドのメンバーの許可を得て、作成されたSSです。
出演メンバーは以下の通りとなっております。出演を許諾して下さってありがとうございました。
・ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)
・ジェイク・太刀川(p3p001103)
・Ring・a・Bell(p3p004269)
・Rêve=amas=Dētoiles(p3p006642)
・ノアルカイム=ノアルシエラ (p3p000046)
・Azathdo=Hgla=Thusxy(p3p005090)
・津久見・弥恵(p3p005208)
・華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
・ヴェルフェゴア・リュネット・フルール(p3p004861)
・奏者 夢現 (p3p005157)
・律・月(p3p004859)
・夜乃幻

さぁ、幕が上がります。どなたさまも瞬きを忘れませんよう。

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 その頃、テントでは、舞台の準備に練習にと、全員大わらわだった。特に目立つのはテント中央にある大きな360度開放型の舞台だ。
 背も高く、筋肉もよくついた碧眼の獣人——『名無しの男』Ring・a・Bell——と、まるで黒真珠のような艶やかな髪に蝶の羽根が生えた麗人——『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻が舞台の下に作られた小部屋に入って、唸っていた。Ringは茶色の耳と尻尾の狼の獣人で首輪に切れた鎖を嵌めている。肩当て以外には何も着ていない上半身には、翼の刺青が入っていて、逞しい筋肉が力の強さを感じさせる。切れ長のエメラルドの瞳がいつもは不敵に輝いているのだが、今はウンザリした表情だ。この舞台は歯車を組み合わせて前後左右自在に動くように設計されているのだが、力自慢のRingがこの舞台を回転させようとハンドルに全力で力を込めても1mmも動く様子がない。
「ぐぐぐっ、ぐっ! 嬢ちゃん、この舞台、本当に動くのかよ!」
 嬢ちゃんと呼ばれた幻の実年齢は約2000〜3000歳なのだが、見た目がRingより若くみえるので、幻は嬢ちゃん呼びにも気にした様子もない。この舞台を含め全ての舞台道具を設計したのは幻だ。幻曰く舞台道具の設計は奇術師の得意分野の一つらしい。幻が見た限り、設計書には不備はない。
「設計図通りなら、ここが千分の1の軽さで動かせるはずなんですが。特に、ここの部分が軽量化の鍵になっているのです。この部分はどうなってますか?」
設計図を指差しながら、Ringに反論する。
 Ringはきまり不味そうに、指で頬を掻く。
「あ〜、なんだ……。……そこすっごく細かいだろ? だからさ、メンドくさくて、つい……とっぱらっちゃった……」
 幻はその言葉を聞いて、綺麗な、しかし冷淡な表情で、冷酷な言葉を突きつける。
「そうですか。勿論、設計図通りに作り直して下さいますよね?」
 だが、Ringだって、ここまで舞台を作るために努力してこなかったわけではない。
「でもさぁ、この舞台、ここまで組み立てるのに何日かかったと!」
 幻は舞台の為なら、例えRingのような大男に凄まれようとも一歩も引かない。
「動かなければ、この舞台、ただの動かない舞台で御座います。お客様は驚きを求めていらっしゃるのです。今、この瞬間にも練習している団長様やスタッフ、チケットを買って下さったお客様に顔向けができますか?」

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