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海色の箱庭
岩の上からするりと人の気配が消えた。
声を掛けた相手が水に沈んだと解り、些かぎょっとする。なにせ冬の夜更けだ。海水の冷たさは自らが爪先を浸さずとも推し量れる。
慌てて声を上げようとするが、影の身のこなしはそれを躊躇うほどに優雅だった。
開きかけた口を閉じて、浅瀬に近付く人影へ合わせて汀に屈む。
ずっと視線だけはぶつかっていた人影――少年の輪郭をはっきりと捉えると、安堵したように息をひとつ。
目の前の人物の、瞬かれた瞳は美しい色をしていた。
「夜中だからこそ、だよ。昼間の太陽から隠れちゃう煌めきを探すのに、今日ほど適した月夜は無いってね!」
返ってきた言葉に、私もびっくりした、なんて子供のように答えて。声音は先ほどと変わらず弾んでいる。
機嫌よさげににこにこと笑む女の表皮から飛び出した色とりどりの鉱石は、月明かりを受けて薄く発光しているようにも見えた。
声を掛けた相手が水に沈んだと解り、些かぎょっとする。なにせ冬の夜更けだ。海水の冷たさは自らが爪先を浸さずとも推し量れる。
慌てて声を上げようとするが、影の身のこなしはそれを躊躇うほどに優雅だった。
開きかけた口を閉じて、浅瀬に近付く人影へ合わせて汀に屈む。
ずっと視線だけはぶつかっていた人影――少年の輪郭をはっきりと捉えると、安堵したように息をひとつ。
目の前の人物の、瞬かれた瞳は美しい色をしていた。
「夜中だからこそ、だよ。昼間の太陽から隠れちゃう煌めきを探すのに、今日ほど適した月夜は無いってね!」
返ってきた言葉に、私もびっくりした、なんて子供のように答えて。声音は先ほどと変わらず弾んでいる。
機嫌よさげににこにこと笑む女の表皮から飛び出した色とりどりの鉱石は、月明かりを受けて薄く発光しているようにも見えた。
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静かに、只静かに、其処はいつもと変わらぬ様に夜に抱かれて波音のハーモニーを響かせる。
『 ―――、― 』
幾重もの星が瞬いた夜空の下、波音のハーモニーに混じって聴こえてきた歌声は静かな夜を邪魔するでもなく、漂うそよ風の様にささやかな子守唄となって浜辺に流れていく。
低い岩に座り、夜空を見上げながら歌うのは海棲の者の尾を携えた少年だった。
少年は歌う。祈りの唄を。
『 星抱き 満ちる夜よ
隠しておくれ 僕の願いを 』
ぱしゃり。尾が叩く海面が小さな飛沫をあげた。
≫≫≫
●1:1RP
●お一人様受け入れ。どなたでも。
●返信速度はマイペースに
●頃合を見て〆ます。
●誰も来なかった場合はそのまま一人で進んでいきます。