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海色の箱庭

【RP】箱庭の夢―02―

陽射しの無い日は、気が滅入る。
どんよりと厚い雲に覆われた空は陽の光など通すわけもなく、いつもは透き通った海も空の色を映せば暗色を滲ませるばかりで。
しとしとと降り続く雨ばかりが水面に波紋を広げ遊ぶ。

暗い海を泳いだところで何が楽しいと言うのか。

岩肌が抉れ、屋根の様になった海の洞窟。
遊び場のすぐ側にあるその大きな洞窟の中は陸に隣しており、時偶に山奥の方から食料を狩りに来た動物が雨宿りで使っている事もある。

紺青色の髪を揺らす人魚の少年は洞窟の中から止む気配のない雨とどんよりと覆う雲をじっと眺めながら、ひとつ溜め息。

「晴れてなきゃ遊べない…」

暇を持て余したように、尾ひれがぱしゃぱしゃと水面を叩いていた。


≫≫≫

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(律儀に一礼をして洞窟へと入ってくる少女の元へと、洞窟内に溜まった海水の中をゆっくりと泳いでくる。水面に波紋を描きながら進んでゆくそれは紛れもなく海棲の者のそれで、人魚だったのかと問われた声にはきょとんとひとつ瞬いた)

あ、うん。人魚。

(岩陰に隠れていたからか、きっと半身が見えなかったのだろう。改めて少女の眼に映る様にと浅く海面を跳ねて潜る、そして再び顔を出してから人懐っこい笑顔を浮かべた。正真正銘、人魚だよ、と伝えるかのように)
(紡がれていく彼女の言葉を聞き逃さぬように陸の近くまで泳ぎ着けば、その言葉一つ一つに瞳を揺らめかせて)

…やさしい雨、なんだな。嫌なものだとしか思ったことなかった。
そっか、そう考えるとどの天気も捉え方が変わってくるな。
ずっと笑顔でいてほしいけど、人だってずっと笑顔ではいられないし、泣きたい時だってあるものな。…綺麗な考え方だ。

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