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月夜二吼エル

【RP】この世で『天国』に一番近い場所

まるで其処は、御伽噺や夢物語で語られる──天界と錯覚してしまう様な場所であった。

小さく可憐な青い花が群生し、まるで見渡す限りの青の絨毯の様に…遥か彼方まで広がっている。
青く澄んだ空の青と、瑠璃唐草の花の青。そして、遥か遠くに覗く水平線の青。三種の青が複雑に絡み合い独特のコントラストを生むだろう。

そんな美しい光景の中、品ある黒髪の女性を「早く、早く」と先導するのは…銀髪に金銀妖瞳の吸血鬼だ。
吸血鬼は日差し避けで目深に外套のフードを被り、ずんずんと先へと歩みを進めていく。いつもの様な気配を圧し殺した歩みでは無く、その靴音は何処か軽やかで楽しげでもある。

「中々、この花が群生してる場所はなくてな。漸く見付かったンだ。」
「…どうしても、姉上にこの光景を見せたかった。」

青い絨毯の真ん中まで辿り着いた女は、くるりと『姉』と慕う女性の方を振り返り。
吹き抜けた風が外套のフードを退けて、現れた銀糸の髪がふわりと風に踊るだろう──


(/蜻蛉様とレイチェルのRPスレです。置きレス形式。期間は話のキリの良い所まで。宜しくお願いしますー!)

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おお、風呂敷!流石、姉上だなァ。準備が良い!
人間観察、か。姉上がユーカクで見てきた中で、興味深い奴っていたのか?
(よっこいしょと其の場にしゃがみ込んでは風呂敷を広げて。ふと、彼女を見上げる──浮かんだ問いは純粋な興味から向けられたものだ。)

ん。ヨハンナで良い。
いいや、ヨハンナの方が良い。俺は、レイチェルじゃない。妹にはなれないから…な。
(妹の名を名乗りながらも、心の深層では『自分』を見て欲しかった。女は相当な天の邪鬼なのだろう。肩に触れる彼女の真白い手は暖かい。まるで、彼女の優しい心根の様に。)
これは、妹の形見。
(艶やかな赤い指先が真っ直ぐに指すのは自身の胸元。まるで核心を突くかの様な問いに、僅かに、困った様に眉尻を下げる。そう、懐中時計が時を刻む音で、己は平常心を保っていたのだ。もう側にいない妹の心臓の音を間近で感じている気がしたから。ゆっくりと懐中時計を取り出せば彼女にも見える様に差し出す。文字盤に描かれたのは、一面の蒼い絨毯と同じ可憐な花だ。)

……ああ。そうだな。
何があっても、大切な妹だ。
(実は妹は生きていて、己と対峙する運命にある──返答に詰まった僅かな間は、そんな未来を否定したい故にか。まだやり直せると信じ込みたい故にか。“例え敵だとしても”と言う言葉は、形を成す前に静かに呑み込んだ。)
姉上が好きなら、今度は椿や牡丹も見に行きたいな。一緒に。

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