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薬袋堂
(その婦人は特別と言うわけではなかった)
(従僕の女にとって主人とは、常に最も己を必要としてベルを鳴らすものであり、相手が望んだとしても契約が長期になることは滅多になかったからだ)
(それでもこうして定期的に此処へ来る事になるということは)
これも、何かのご縁なのでしょうね。
(慣れた道を進み、扉の前に立つと独り呟く)
(静かに扉から中へ入ると、賑やかなことが多い店内は静寂が漂っていた)
(珍しいこともある、と思いながら店主の姿を探して進むと、机上に何やら紙切れを認めた)
…裏手。
(はて、この店に裏側の入り口などあっただろうか)
(少し考えてみたけれど、思い当たる節がない)
(となれば進むべき道は)
この奥、ということに変わりはないのでしょう。
(いつも店主が鎮座している場所から、更に奥へ行けるであろうと検討をつけ、そのまま進むことにした)
(従僕の女にとって主人とは、常に最も己を必要としてベルを鳴らすものであり、相手が望んだとしても契約が長期になることは滅多になかったからだ)
(それでもこうして定期的に此処へ来る事になるということは)
これも、何かのご縁なのでしょうね。
(慣れた道を進み、扉の前に立つと独り呟く)
(静かに扉から中へ入ると、賑やかなことが多い店内は静寂が漂っていた)
(珍しいこともある、と思いながら店主の姿を探して進むと、机上に何やら紙切れを認めた)
…裏手。
(はて、この店に裏側の入り口などあっただろうか)
(少し考えてみたけれど、思い当たる節がない)
(となれば進むべき道は)
この奥、ということに変わりはないのでしょう。
(いつも店主が鎮座している場所から、更に奥へ行けるであろうと検討をつけ、そのまま進むことにした)
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一息つくように手を止め部屋を見渡すと
夢中になり過ぎた所為か、気付けば散らかり放題の有様。
流石にまずいと思うも、このまま仕上げ切りたいのが本音である。
今日の受け取りがなけりゃ続けてしまおうと思い帳簿を確認する為に表の帳場机へ。
帳簿を確認よると…時折、使いを寄越す婦人の品が切れる頃合いではないか。
其処で思い浮かぶは、知り合ったばかりの給仕服の彼女。
―――よし。
何か良い事でも閃いたのか、男は紙に一言残し帳場机に貼り付け裏へ戻る。
「裏の方へどうぞ」
―――――――――
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