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薬袋堂

【薬袋堂】

一軒の平屋。
暖簾を潜ると鼻に付くは、草木や薬品類の不快な匂い。
その更に奥へ歩みを進めると帳場机に座り出迎える口布の男。
どうやら乳鉢にて何かを調合中のようだ。

客人に気づいたのか、いらっしゃいの一声。
今日とて自身の心の赴くまま客人を持て成すべく
愛想の良い笑みを浮かべている。

――ええ、ちゃんと持て成しますとも…ちゃんと、ね。

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時折、爺さんの使いで営業妨害と言う名の使いで来るんですよ。其処の踊子。
その時に楽しげにアンタの事を耳が蛸になるほど聞かされたんで憶えてたってわけですわ。
いやはや、兄さん″珍しい体質″らしいやないですか。 其の″珍しい体質″にちょいと御協力願いたくて、ね。なあに、ちょいとアル物を服用して欲しいだけなんっすわ。
(踊子の不安を余所に土肌の彼の手伝うと言う言葉に反応し、品と手伝いに必要な″アル物″を手にし振り返ったかと思えば、それはもう楽しげに捲し立てるように言葉を紡ぎ手招きで呼び寄せる)

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