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薬袋堂

【薬袋堂】

一軒の平屋。
暖簾を潜ると鼻に付くは、草木や薬品類の不快な匂い。
その更に奥へ歩みを進めると帳場机に座り出迎える口布の男。
どうやら乳鉢にて何かを調合中のようだ。

客人に気づいたのか、いらっしゃいの一声。
今日とて自身の心の赴くまま客人を持て成すべく
愛想の良い笑みを浮かべている。

――ええ、ちゃんと持て成しますとも…ちゃんと、ね。

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うん、ニコは久しぶり。ここで逢うとは、思わなかった。
(偶然も偶然、ふらりと立ち寄った場所だから。
 狗鷲の彼の小さな合図を見止めて、真似をするように手をひらりと振る。……真白の彼女の落胆には、何故だろうと疑問を抱いたけれど。
 顔見知りの面々の様子を見ていれば、店主らしき男から掛けられる言葉。つと、視線を滑らせて)

? プティから聞いてたの、か。知り合い?
……ええと。じゃあ、改めて。
オレはレム。何か手助けできることがある、なら。手伝うけれど。
(一体何を手伝えるのだろうか、心当たりなどとんと思い浮かばずに首をかしげる。”薬袋 布
静”と言う――傍らの彼女へ受けた名乗り通りならば――男の意図が掴めずに、じぃとその動向を見つめていた)

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