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薬袋堂

【薬袋堂】

一軒の平屋。
暖簾を潜ると鼻に付くは、草木や薬品類の不快な匂い。
その更に奥へ歩みを進めると帳場机に座り出迎える口布の男。
どうやら乳鉢にて何かを調合中のようだ。

客人に気づいたのか、いらっしゃいの一声。
今日とて自身の心の赴くまま客人を持て成すべく
愛想の良い笑みを浮かべている。

――ええ、ちゃんと持て成しますとも…ちゃんと、ね。

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ああ、面倒事を起こされて余計な仕事が増えない様、監視だ。
(白の少女に聞かせる様に、改めて言い直した言葉は手で顔を隠す相手へと聞こえるようわざと単語毎に強調されていて。今のところはまだ問題を起こしていないからと店の隅に寄りじっと佇んでいる。と、不意に耳に届いた聞き覚えのある声に顔を向けた。土色の肌に眠たげな目。樹の麓で出会った青年だ。片手を上げ、軽く合図を)

レムか。こんな所で会うとは思わなかったな。
(「不思議な巡り合わせ」、給仕服の女が口にした言葉に確かにな、と一人思い。場所を移動した事に対しての礼にはすまなかったなと短く謝罪の言葉を返した。改め店の中を見返してみると、なんとも共通点の無い集団だ。店なのだから、別に共通点は無くてもいいのだろうけど)

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