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薬袋堂

【薬袋堂】

一軒の平屋。
暖簾を潜ると鼻に付くは、草木や薬品類の不快な匂い。
その更に奥へ歩みを進めると帳場机に座り出迎える口布の男。
どうやら乳鉢にて何かを調合中のようだ。

客人に気づいたのか、いらっしゃいの一声。
今日とて自身の心の赴くまま客人を持て成すべく
愛想の良い笑みを浮かべている。

――ええ、ちゃんと持て成しますとも…ちゃんと、ね。

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(たまたま通りかかった平屋。
 当てもない散策中の景色の一つとして認識した店は、その大きさの割に何やら人で賑わっていた)
(……何のお店なんだろう?
 「薬袋堂」と書かれた暖簾の奥からは、何やら不思議な匂いが漂っている。
 つうんと、鼻をついて……薬草の香りに、似ている?)

……あれ。この声。

(ふと、店内から聞こえる複数の声。
 その中に、幾つか聞きなれたものが混じっていた気がして。
 気を惹かれたが最後、己の足は無意識に店先へと向かっていた)
(暖簾をくぐり、視線を向けたその先には、)

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