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薬袋堂

【薬袋堂】

一軒の平屋。
暖簾を潜ると鼻に付くは、草木や薬品類の不快な匂い。
その更に奥へ歩みを進めると帳場机に座り出迎える口布の男。
どうやら乳鉢にて何かを調合中のようだ。

客人に気づいたのか、いらっしゃいの一声。
今日とて自身の心の赴くまま客人を持て成すべく
愛想の良い笑みを浮かべている。

――ええ、ちゃんと持て成しますとも…ちゃんと、ね。

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(今日の仕事は所謂”お使い”だった。地図の描かれた紙切れを片手に黒いスカート、メイド服の裾を揺らして歩く)
(この辺り、と検討をつけた店先は――翼で覆われていた)
(いや、それは大柄な翼を持つ先客の背中だ)
…もし、翼の方。わたくしこちらの扉をくぐりたいのですが。
(丁寧ではあるがぴりりと張り詰めた声色で声を掛ける)

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