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ギルドスレッド

一禍

【玖累のお部屋】961号室

この部屋は四畳一間の一室である。
余剰は一分も無く、きっちり図ったかのように畳四枚分だけが、その部屋の面積なのだ。
そして、その部屋にはテーブルと敷布団とジャンルもバラバラな本とボードゲームが収められた本棚だけが家具として存在する。

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チェス盤を引っ張り出してコマを並べてみる。
其々の駒は歩兵、戦車、騎士、司教、そして女王と王様と言った意味合いを持っている。
暫くその初期配置を眺めていると、ふと違和感を覚えて首を捻る。
「よくよく考えてみたら、どうしてここにクイーンが居るんだろう?」
しかも、その駒は最高の機動力を持ち次から次へと敵の駒を屠るキラーマシンなのだ、駒としての点数もキングの次に高い。
「ムムム……僕は今まで人類が思いもつかなかった謎に直面しちゃったのかもしれないぞ。」
なんて、下らない事を考えている今の時間は、体内時計が正確ならばぴったり午前12時だろう……今日も一日無駄に過ごしそうだ。
Lv1
フィジカル  :10
メンタル   :9
テクニック  :5
キャパシティ :9

林檎をテーブルの上に置き、其れに向かって手をかざす。

残念ながら魔法使いでもない僕は、掌から炎を出して焼き林檎にすることも、不可視の刃物を出して六等分にする事も出来ない。僕は、只の超能力者だ。
そして、僕が使える者にも制限がある。自分の気に入った物、他人の思いが乗らない物、そして……いや、これは良いか、重要なのはこの二つだ。

袖口からソレらが這いずり出て来る。まるで触手かあるいは蛇の様にズルズルと不気味な力強さで脈打ちながら、ゆっくりと林檎に巻き付いて行く。
一重、二重……巻き付くたびに表面の突起物がズタズタに皮を引き裂き、白い果肉に傷跡を付ける。
だから、僕が自分の能力で操る時は人から好かれない物を選ぶ。大抵の人間から忌み嫌われ、さらに大事にされる事も無い物。とりわけよく使うのは……

元の物体が解らなくなるほど過剰に巻き付けると、今度はそれを持ち上げ……ギリギリ、ギチギチ、グシャリと絞め潰す。
林檎だった物の残骸があたりに飛び散り、締め付けていた有刺鉄線に果汁が伝い、汚した。
「あ、やっちゃった。 うーん力加減が難しいなぁ、本当に『Lv1』(得たて)の頃に戻っちゃったみたい」
今の自分の能力では、以前の様に自由自在にとはいかないだろう。やれやれと大げさに首を振りながら肩をくすめる。

そしてある事に気付く、ああそうだ、気付いてしまった。甘ったるい匂いが充満するこの部屋で、その原因たる彼方此方に飛び散った林檎の欠片や果汁の跡の掃除に追われるであろう未来が!
「ああ、やっちゃった……誰だよ、こんな所で能力の確認をしようだなんて言いだしたのは! ……僕だよ!」
なんて一人芝居をかましつつ、目も背けたくなる現実と放置したことによって起こる惨事ににいやいやと首を振って、とりあえず飛び散った、今も溢れる果汁で床にシミを作る林檎の欠片から集め始めるのだった。
拘束衣の男がテーブルに向かい真新しい紙に真新しい鉛筆を使い文字を書き込んでいる
左上から右下へかけて非常に小さな文字でまるで強迫観念に駆られた人間の様に丁寧に
丁寧に文章で空白を隙無く埋めるあなたはその紙を覗き込み書かれた物を読み始める「
拘束衣の男がテーブルに向かい真新しい紙に古ぼけた鉛筆を使い文字を書き込んでいる
左上から右下へかけて非常に小さな文字でまるで強迫観念に駆られた人間の様に丁寧に
丁寧に文章で空白を埋めていくあなたはその紙を覗き込み書かれた物を読み始める」「
拘束衣の男がテーブルに向かい古ぼけた紙に真新しい鉛筆を使い文字を書き込んでいる
左上から右下へかけて非常に小さな文字でまるで強迫観念に駆られた人間の様に丁寧に
丁寧に文章で空白を埋めていくあなたはその紙を覗き込み書かれた物を読み始める」「
拘束衣の男がテーブルに向かい古ぼけた紙に古ぼけた鉛筆を使い文字を書き込んでいる
「そろそろ疲れたよ」
僕の本質は言刃使いだ。
凶刃を振り翳す大抵がそうで有る様に、自分の刃に責任を持たない。
だから、珍しく人の心にプラスに刺さる事もあるのだ。

「マァ、何も考えてなかっただけなんだけどさ。」

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