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美少女道場

【RP】『廃墟の恋』天義公演

天義における『それなり』のレストラン。
劇場からほど近くそこそこ賑わっているようだが、個室なので外の様子は関係ない。
ツテがあるのだと、ここまで案内した美少女は嘯いたが……。
待っていればチケット代程度の料理が出てくるはずだ。

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食事代は持つが酒代は持たんからな。
(スパークリングワインを傾けながら対面の美少年を見やる。
 奢るなどと言って際限なく飲まれた前回の教訓が効いている)
そこまで頼んじゃねえよ。
というか……理由もなく奢られるのは気分が悪いからそれでいい。
(ロゼで満たされたグラスの淵を、指先でなぞるばかりでまだ手を付けずにいる。
 ……公演が終わった頃からである。苛立ったているというか、落ち着きがないというか。
 その割には余韻に入るように思いめぐらすようであったり。
 ともかくそんな様子である。)
ふぅん?
(落ち着きない様子に僅かに片眉を上げた。
 機嫌が悪いのかとも考えたが――そういう時の美少年はもっと分かりやすく悪態をつくだろう)

……興味深い公演であったな。何故貴殿が天義公演を選んだのか理由が分かった。
文学と演劇で表現の手法が違う事を加味しても……これが、何だったか。貴殿が以前言った文化の違いというやつか?
そうなる。
だが原本なんてほぼ口伝での流入だし、それに脚本化される段階で書き手によって大分物もかわって…………いや、そこはいい。今はいいだろう。
その感想が出てくるってことは、入門編としては十分な成果だったってことだろう。

感想戦に入る前に確認するが。元の話に目を通したことはあるか?
読んだぞ。吾が読んだのは幻想の著者のだったが。
誰々版と版が複数あるようだが……まぁ、読み比べせずとも大筋は同じであろう。
若き僧侶が妖しい女に誘惑されて、昼は敬虔な僧侶として、夜は女の元で堕落した行いを繰り返すという奇妙な二重生活に陥る。
実は女は吸血鬼であり、僧侶の上司に退治されるが、僧侶は女との生活を惜しみ一生後悔することになる、と。
(枝葉の部分を除けばこんなものだろう、とあらすじを述べて対面を見た)
手堅いところを予習してきてくれたな。話が早くて助かる。
ただ一度であっただけで、僧侶にとっての信仰を無価値なものへと貶めた吸血鬼。
目指した地位と信仰と戒律を得たというのに、あまりに色味の少ない昼の世界。
怪異がもたらす堕落に満ち溢れているのに、そこに怪異特有の醜悪さも恐怖もなく、ただただ美しく愛おしいものがそこにあるという夜の世界。
それらの経験を懺悔という形で語り、「美しいものは人生を狂わせるから関わるな」という話で締め括る。

生きていく中で移り変わる価値観と。古い価値観に縛り付けられる人生。
1人の人間の中に2つの側面を見ることができるから、ボクはこの作品が好きだ。。
だがまあ……わかっちゃいたがここは天義だ。
演出家が変わったと聞いて期待しちゃあいたが、実に天義らしいオチだった。
「これぞ信仰の勝利」だってよ。立派なもんだよな。
吾はどうしても女吸血鬼の目線で見てしまうので僧侶に対しては酷いやつだという印象が抜けないのである。
手に入れられないものに尽くす様は滑稽であり、同時にどうしようもなくむなしい。
憑り殺すのが二人の間に置いて最良であった風にすら思うが……。まぁよい、人の物語であるからな。

(給仕が前菜を持ってきたタイミングで言葉を止め、軽くワインで口を湿らせた)

そもそも、ラストの女吸血鬼を惜しむシーンが消えていたな。
演出も自分を恋い慕う女というよりも誘惑者の側面が強いし、あの上司は正しく救世主の様に描かれておった。
そこには最近の世情を加味した『配慮』ってやつがあんだろうよ。
(そう皮肉るように言ってのけてから…… 視線は給仕を追う。
 個室を出て数拍。二度瞬きを置いてから、誰もいないことを確認する。)

たぶんお前の方が詳しいと思うが…「月光人形」さ。
1~2年程前だったか。死んだはずの人間が蘇って狂気を媒介するっていう事件があったろう。
そこから紆余曲折を経て『強欲』の冠位を倒したって聞いたが……この国はよっぽど懲りているらしい。黄泉還りに関する表現がまた一段と「厳しい」気がしたな。
冠位に勝ったという事実も踏まえたうえで、それに抗い跳ね除けることを美徳とし訓戒としたいという風潮が強いんだろう。

そんな中でクラリモンドを惜しんでみろ。
間違いなく審問を受けるね。
ふん、覚えて居るとも。
吾は冠位戦の前線におったからな。ここを紹介されたのもその時の縁である。

……まぁ、それ以外にもある。
(月光人形の話題が出た際は一瞬、目を伏せた。
 それには少なからぬ縁があり、いまもその悪縁は続いているが言うべきはその事ではなく)
天義という国にとって『吸血鬼』とは明確な敵対関係にある。
吸血鬼といってもウォーカーのように血を吸って、血を媒介に繁殖する種族ではない。死体に寄生する混沌土着の魔物の一種よ。
一般には背教者として秘密裏に処理されるようであるが……。
逆にその秘密があるからこそ吸血鬼が含まれる演劇の公演許可が下りたのやもしれぬな。
ここ数年程は嫌に事件が多いからな。
娯楽を提供してガス抜きを図りたいが、あまり刺激的な題材を提供するというのは、特に高尚な客層をターゲットにするような場所じゃあな。
ああいった保守的でマイルドな作風じゃなけりゃあ偉い人も許さないだろうよ。
世情に従って売れる形で売ること。披露したい作品を好まれる形で出すこと。
それが悪いことだとは、そんなことは思ってないが……

 (愚痴が混じりかけたところで言葉を飲みこみ。くつと拳を握って誤魔化した。)

………まあ、だが見るべきところはあった。
直接的表現を用いないまま、そして役者の美しさを損ねないまま、照明や影の演出で吸血鬼を「恐ろしい誘惑を投げかける悪魔」として仕立て上げるのは良かった。
僧侶が夜の世界へと向かう時、墓穴を思わせるような薄暗がりへ落ちる演出もよかった。
観客の不安を煽るには十分な見せ方だったろう。
少なくとも見せたいものは伝わったと判断する。
そこらへんは商売という訳であるな。
権威やら人気やらと、貴殿の好きな『芸術』とは難しいものだな。
そこに美があっても世情で一度解体して組みなおさねば評価されぬとは。

(口を挟みながらもしっかりと手はナイフとフォークを握って前菜を食べている。
 言葉は皮肉のようだが、単純にそう思ったので口に出しただけなのだろう。棘はない)

……その辺の演出の事は吾は全く門外漢である故、よくわからぬのであるが。
なんというか、演劇と言うのは身振り手振りで演ずるのかと思って居ったが、存外に声というのが重要であるように思ったな。
興奮したときの声の震えや、会場に聞こえるように大声で演じているにも関わらず声を潜めているのが伝わるというか……。
そのへんの情感があの女優は良かったな。
(こいつにそういうものを「良い」と判断する目があったのか。
 そうは思ったが口にはしなかった。あまりに無粋が過ぎることは重々承知である。
 それに、この発言に驚かなかったといえば嘘になる。)

(ここにきてようやくワインに口を付けた。つける気になった。
 酒精の散ったような、幾分気の抜けた味がした。)

ああ、確かに良かった。
舞台が大きくなるほど女優個人の見栄えよりも、演技力の高い女優が評価される傾向はある。
舞台に相応しい…いや、勿体ないといってもいいほどだ。
この辺りではあまり歓迎されないような、そういう魅力を演出するのが巧い演者だ。
違う場所ならもっといい評価を得られそうなものだよ。

……気になるなら、次に彼女が出てくる公演を探してやろうか。
(食事をする手が止まった。紺色の中に幾つも星が散った瞳がそちらの金色を捉える。
 訝しむ様な、探る様な気配。そして僅かに滲む困惑)

……ふぅん、それは「何」だ?
別に媚びている訳ではあるまい。理解できる点を見つけて、そこから更に解析しようという魂胆か?
            あ"?


理由がないと納得しかねる、っていうならそれらしいのを並べ立てておいてやる。

ひとつはお前の言った通り、理解を深めるためかもな。
ひとつはこうしてガワのいい女を連れまわすことで、ボクの自尊心が満たされるからかもな。
ひとつはこの発言そのものにお前を推し量る意図があったかもな。
ひとつはこうした芸能に金を落とす奴を増やすことで、よりよい作品を見れるようにしようという遠巻きな根回しかもな。
ひとつはボク個人があの女優に個人的興味を持ってて、お前を口実にして動こうとしてるかもな。
ああ、そうだな。上のどれかかその全てかもな。
じゃあこっちからも逆に聞いてやるが。
さっきまで大した文句も言わずに演劇鑑賞してきて、こっちに金を使わせて。
そしていまこうして食事を共にしているわけだが。これこそ「何」だ?
吾はローレットに所属するものの要請に応える義務がある。
故に誘いは断らぬが、応えるためには意図が知りたい。

貴殿は吾を屈服させて首輪をつけるために行動しているのではないのか?
否、それはよい。貴殿の信条に関する事であるので吾は関知せぬ。
しかし、それにしては誘いが婉曲で無軌道であるように思う。
いずれ使役するものに対して価値観の共有は必要であろうか?
連れ歩くときに多少の会話が出来た方が良い、というのは分かるが……。
こっちの記憶が正しけりゃ「奢りなら見たい」つったのはテメェだろうがよ。

……まあ、いい。日頃の行いってやつもある。
折角東部くんだりまで出向いて気分よく観劇を終えたところだ。
一方的に切れ散らかすこともないだろう。
それに知る気のないやつに相手にただ黙ってるだけで、こっちが何か損をすることもねえしな。

(乱暴にグラスを干す。脇にあるボトルへと手を伸ばす。)
(よくわからない、と言う風に首を傾げた。
 重大な問題である。
 生きる事とは望まれた所に居る事に他ならないのにどうやら自分は別の所にいるらしい。
 彼が望みから逸脱しようとしていたから、むしろこれは親切心であったのに……だが)

(その認識は正しくなかったらしい。なぜだろうと意識が深く潜る。
 わからない。
 自分はこんなに親切にされるいわれはないし、むしろ不利益になるからやめるべきだと伝えるのが正しいと思う。
 でも、それはきっと正しくはないのだろう。自分の思う「正しい」はいつでも間違っている)
(目測を僅かに違えた葡萄酒の赤い一滴が、グラスの淵から溢れ出て、伝って。
 無垢なテーブルクロスに染みをひとつ残してしまったものだから。)


下手糞かよ。
(そう口元を腹立たし気に結んで、その痕跡を睨みつけた。
 こいつをどうしてやろうかと睨みつけていた。)


(…先程からずっと手を付けられないままの食事は皿の上で冷たくなっている。
 そういう沈黙が流れている。)
良かったよ。
吾はあのような劇場で観劇などしたことが無かったから、まずもって新鮮であった。
物語のあらすじは頭に入っていたが、やはり小説と演劇は別物なのだな。
文章を追う事で場面を思い描くことは出来るが、役者の演技と舞台の演出は灰色の想像を色づかせるようだった。
元の話との乖離はやや興ざめではあったが……。それを差し引いてもいいものを見させていただいた。
そう。

じゃあいいってことにしといてやる。
どういたしましてだ。
ん。

(短く答えた瞬間、彼を苛立たせたであろう発言の何もかもを謝りたくなってしまった。
 酷く不釣り合いな場所に居る気がする。
 この問答は正しいのだろうか、間違っているのだろうか)

……あの女優の出る公演を探してもらえるだろうか?
他の役を演じる様も見て見たい。

(間違いを繕うように言葉を重ねる)
……食事一回分の手間賃で済む範囲なら、まあ探してもいい。
また、劇の事を教えてもらえると嬉しいのだが……。
そう。

………『幸福な王子』という作品がある。
金銀財宝に身を包んだ王子の像が、人々の貧困を憂いて、自分の体の一部を燕に頼んで分け与えるという話だ。
ボクが知っているのは小さな舞台だが、なかなかどうして悪くなかったと記憶している。

気持ちのいい結末かどうかは個人の解釈によるところが大きいがな。
童話だったな。
最後に燕は冬の寒さに耐えきれずに死んでしまい、王子の像は砕かれて炉にいれられてしまう。

貴殿の見た舞台はどうだった。やはり同じ結末だったのか?
それを言っちゃ面白くないだろ?
(……ようやく食器に手をかけると食事を口に運んだ。)


(顔をしかめ「冷めるとそれほどだな」と小さく愚痴をこぼした。)
……それもそうか。
(置きっぱなしになっていたナイフとフォークに手を掛ける。
 口に運んだ料理は一口目よりも表面が乾燥してパサパサしていた)

なぁ、貴殿はどう思う。劇ではなくて童話の話だが。
王子を愛してとうとう南へ行かずに死ぬ事にした燕と、鉛の心臓を砕いてしまった王子は幸福だったのであろうか?
自分の人生に意義を見出し、その傍らで死ねること。
自らが出せる全てを出し切り、一切のあと腐れなく「成し遂げた」と言い切れること。
そこだけを見るなら。そこだけなら幸福といってもいい。

「自分の全てを捧げたい」という思いはそりゃあ美徳なんだろうさ。
だが一方で、それは自分の中だけで完結する。見方を変えれば独り善がりだ。
あいつらは幸せだったかもしれないが、最期のその時まで独りだった。
それを不幸とみるならそれは不幸だったろう。



……そうさな。例えばだ。
燕が一言、「私とともに南へと向かいましょう」と王子に言ってやれば。
王子がただの一度でも「燕の為になにかをしてやりたい」という意思を示せば。
そうであったなら2人で幸福になれたんじゃあないのか。

…例え話だ。他の奴らには言うなよ。
(ぱちりと星を映した瞳が瞬いた)

(心臓が強く打った。頭が痛い。
 口の中に入れた食べ物が途端に異物の様に感じられて吐き出せと脳が叫ぶ)

(例え話をどうやって解釈した者かと、逡巡するみたいに首をかしげてみせて。
 思い出したみたいに口の中の物を飲み込んで)

(聞くんじゃなかった。唇が震えぬように息を吐いて、これは)
わかった。
……でも、そうであろうな。きっと、一言そういえばよかったのだ。

私は少しばかりあの結末に不満を持っていたが……腑に落ちたよ。
そう。

こういう意見が出てくるってことは。
ボク自身もそれなりに思うところがあるんだろうよ。この話にはな。
美しいものが自分を差し出すというテーマそのものが……
(と、言葉を切った。息をついて。
 視線はテーブルの上に戻したグラスの中身が波打つ様をなぞっている。)

………なぁ、なんだ。提案だが。
場所変えないか。
うん?
……別に良いが。何処に行く?

(料理分の支払いは入る前に済ませている。席を立てばどこにでも行ける状態である)
安い店。
観劇中もずっと行儀よくしてたから、飲み食いするときくらいもう少し気楽なほうがいいんじゃないかと思った。
大したことじゃあないが……硬くなった背筋をほぐすための背伸びみたいなもんだよ。

……念のために言っておくがこの店に不満があるわけじゃあない。
分かっておるとも。

よいぞ。吾は元々気安い店の方が好ましい。
……それじゃあ出るか。ところでアテはあるのであろうな?吾はこの辺あまり詳しくないが。
そこは大丈夫だ。
中央ほど気楽ではないがそれなりに羽を伸ばせるところは知っている。
(同意を得られたところで立ち上がって)

ボクは先にここで用を足してから出ることにする。
お前も化粧直しが必要ならここで先に済ませておけよ。
向こうにゃここほど清潔な手洗いなんてないからな。

じゃ、お先。
(言われるままに化粧室に立ち寄って、少しばかり顔色の悪い自分と対面する)
 化粧品とか、持ってないのであるがなぁ。
(くつくつと喉の奥で笑って、それから少し後に店の外へと急ぐ足音が響いた)

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