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異世界歴史学研究調査事務所

応接室の日常3

 外面ばかり整えている異世界歴史学研究調査事務所だが、その実その取り繕った立派さを発揮する事は滅多にない。何故ならそれを利用する立場にある男が非常に面倒臭がりであり投げ遣りだからだ。
 例えば、己の伝記を書かせるのに大枚をはたきそうな金持ちの上客であれば、男は部屋を改めて整え、不精髭を剃り、髪の毛をキッチリ撫でつけて出迎えるだろう。
 だがそう言った上物の依頼客は事前の予約を必須としている。『忙しい≒凄い繁盛してますよ』アピールをする為にもそこは徹底しているし、そもそもそう言う類の客は普通事前に連絡か人を寄越すのでどの道飛び込みはほぼあり得ない。

 よって、平時の応接室はつまり、男や男に近しい者にとってはのんべんだらりだらけるための休憩スペースに他ならないのである。

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(背伸びして樽のコックを捻り、ビールを注ぐ)
ということで、はい、これジェイの分ですわ。
私の奢りですから、存分に感謝して頂いてもよろしくってよ?

精神、不条理……もしかして最近、お仕事が上手く行ってませんの?
大丈夫ですわ、ジェイ。神は無意味な試練を人に課すことはありません。
貴方にその試練が必要であり、また、貴方がその試練に値する人間であるからこそ、神は試練を課すのです。
貴方がもがき、苦しんだ先には、必ずや神の恩寵があるでしょう。
でも、その試練がどうしても辛くなったら、私のところでも、教会でも……いいえ、それ以外の、貴方が信頼する人間の元でも構いません。
その試練は貴方にしか解決できませんが、痛みに寄り添い、分かち合うことはできますもの。
神様だって、きっと、そのくらいはお許しになるはずですわ(なんかいい話風に纏め始めた)

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