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異世界歴史学研究調査事務所

応接室の日常3

 外面ばかり整えている異世界歴史学研究調査事務所だが、その実その取り繕った立派さを発揮する事は滅多にない。何故ならそれを利用する立場にある男が非常に面倒臭がりであり投げ遣りだからだ。
 例えば、己の伝記を書かせるのに大枚をはたきそうな金持ちの上客であれば、男は部屋を改めて整え、不精髭を剃り、髪の毛をキッチリ撫でつけて出迎えるだろう。
 だがそう言った上物の依頼客は事前の予約を必須としている。『忙しい≒凄い繁盛してますよ』アピールをする為にもそこは徹底しているし、そもそもそう言う類の客は普通事前に連絡か人を寄越すのでどの道飛び込みはほぼあり得ない。

 よって、平時の応接室はつまり、男や男に近しい者にとってはのんべんだらりだらけるための休憩スペースに他ならないのである。

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ええ、もちろん持参したアルコールでございますわっ!
信徒の方から収穫祭でビールを頂いたものの、お酒だけお腹に収めるのも寂しいなあと思っていたところ、目に入ったのは異世界歴史学研究調査事務所!
嗚呼、これぞ神のお導き!いと高き天の頂より、神様が迷える子羊を見守って下さっている証拠ですわっ(十字を切って祈りを捧げる。ビールが少しこぼれた)

えっ、選んで良いんですの?それじゃあ、勿論、ぜん……(「全部」と言いかけたところで、唇の動きが止まる)
……ええと、お酒を飲んで帰ったのが司教様にバレると怒られてしまいますので、あんまり臭わないものでお願い致しますわっ!
あっ、このツナピコってなんですの?固めた黒砂糖……のような?(手にとってしげしげと眺める)

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