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遥か夏のカプリチオ

【入団報告】50回記念

「臭うね。血の臭いだ」

 草木も眠る丑三つ時。そんな時分に洋燈に火を灯し、書物を読みふけっていたフニクリ=フニクラは鼻をひくつかせると低くつぶやいた。
 さては、良くないものが屋敷までやってきたか。確かめぬ訳にも行かず、フニクリは洋燈を手に取ると血の臭いのもとへと向かう。
 幸い、というかなんというか。臭いのもとは、屋敷の直ぐ側に落ちていた。洋燈を掲げて照らしてみれば、それは人の形をしている。

「死人かね。あぁ、いやだいやだ」

 フニクリが考えているのは、後始末のことだけである。死体を穏便に片付けるのはどれほどの手間か。厭気とともにそれを小突いてみれば、のそり、と身動ぎなどしてみせるではないか。

「おや、生きていたかね。それはそれで面倒くさい」

 死にかけを見捨てるほど人の心を忘れちゃいないからね、と。家の者を起こして血まみれの人物を屋敷に担ぎ込ませる。寝床を敷いて、怪我の手当の指示を出し、あくびを一つ。

「やれやれ、良いことをしたものだ。これはきっと夢見が良い」

 手当の様子も、担ぎ込んだ怪我人の顔すら見届けることなく、フニクリは自らの寝床へと向かった。



「ぐ、むぅ……」

 うめき声を上げて男は目を覚ました。全身が痛む、特に脇腹は焼けた鉄を押し当てられているようだ。思わず傷口に手を当てて、包帯が巻かれていることに気がつく。同時に自分が布団の中にいることも。

「ここ、は……?」
「私の屋敷だよ。目は覚めたようだね」

 返事が返ってくるとは思わなかった。痛みに耐えながらのろのろとした動きで声のする方を見てみれば、椅子に座った小柄な人物が興味のなさそうな瞳で男を見ている。

「気分はどうだい?最高って言ってくれれば今すぐにでも送り出すんだけど」
「そんなわけあるかい……」

 そりゃ残念。と、さして残念そうでもない表情でいうと、その人物、フニクリは傍らにおいていた書物を開くと目を落とす。それきり声もあげようとしないので、男はどうにも落ち着かない。

「……なぁ」
「なんだい?いま、忙しいのだけれど」
「嘘を……まぁ、いい。……聞かないのか?」
「何を?」
「何って……」

 あるだろう、色々と。怪我の理由とか。

「ふむ、自分語りが趣味と見た」
「喧嘩、を」
「商いは専門外だねぇ」
「そういう話じゃぁ」
「どちらでも良いさ。どのみち興味はないのだから」

 そう言い切られては、男は閉口するしかなかった。変わった人物である。どう考えても厄介事でしか無い、血まみれの男を世話する割に、その理由に興味がないという。もっとも、男としても自分の不手際をいちいち述べてみせるのは遠慮したいことだったが。

「あぁ、でも一つだけ」
「何、だ」
「名前を知らないのは不便だねぇ」
「……カンベエ、だ」
「そうか。よろしくね、カンベエ」

 その日から始まったカンベエの奇妙な居候生活。このあと、怪我の原因となった因縁が元となり大冒険を繰り広げることになるのだが。それはまた、別の話。







というわけで今回の入団者。
『名乗りの』カンベエ
さんです。

びっくりしたよね。入団申請みてキャラシート開いたら重傷だったもの。入団申請の書類にもね、血糊がべっとり。なんのホラー映画かって思いましたもん。
まぁ私くらいになるとね、そのくらいは慣れっこですから。50人も入団申請受け取ってると。
ひどいところでは石版に刻んだ入団申請が来ました。嘘だけど。

まぁそんな感じで
では以後よろしく

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すっかり出遅れてしまったけれど、ヴァリューシャでございますわー!
カンベエと言いますのね、どうかよろしくして下さいまし!……とりあえず、やたら顔の大きい猫のモンスターを生み出そうとしている芝や様さんを退治すれば良い流れ、という理解でよろしくて?(メイスを振りかぶる)

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