ギルドスレッド
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遥か夏のカプリチオ
改めて、自称良心やら自称正直者やら自称知識人やらが集まるこの場所へようこそ。
おお主よ、どうかこの嘘つき達をお許し下さい。彼らには嘘をついている自覚がないのです。
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遠目に見える緑の森は、生命を謳歌して若芽を伸ばしているだろう。
待ちゆく人たちはみんな軽装で、額に流れる汗を拭う。
今は、夏。
うだるような暑さは、それでもなお心を躍らせる用な、熱気と陽気が支配する、太陽の帝国。
そんな日和の昼下がり。
ミルドレッド・S・トレムフォスパーは、
ほぅ、と白い息を吐き出した。
『ギフト』というものはこの混沌世界にありふれたものである。
混沌からの贈り物。それは世界を変えるようなちからではないけれど、必ずしも役に立つようなものではないけれど。
それを受け取ったものに、少しの個性を与える生き方の彩り(フレーバーテキスト)。
ちょっとした手品のようなものから日常で便利に使えるもの。
それを実際にどう活用するかは本人の裁量次第であるし、殆ど使ったこともない、というものも居る。
あるいは、例えば後天的にそれを受け取る旅人などは、自分のギフトがまだどんなものかに気づいていなかったり。
真夏だと言うのにまるで真冬のように白い息を吐き出す男、ミルドレッド・S・トレムフォスパーはつまり。
自分の賜ったギフトをまぁまぁ便利に使っているのだ。
夏限定だけど。
しかしその時、ミルドレッド・S・トレムフォスパーは困っていた。
ギフトの恩恵は便利だが、それに慣れすぎてどうにも熱気は不得手であった。
ギフトの力は有限だ。
あまりこれ頼りすぎるのも良くないと考えて。
しばらくギフトを使わず過ごしてみようと思ったのだ。
すぐ後悔したけど。
半ば意地のようにギフトを使わず、街の中を彷徨う。
家でじっとしているよりは歩き回ったほうが気が紛れると思ったからだ。
だいぶ後悔したけど。
しかして幸運は彼に微笑む。この焼けた石畳の牢獄のような街道にもオアシスが存在したのだ。
具体的には氷菓子を売る屋台だ。
それを見て、勝ち誇ったように太陽を視る。
どうだ、貴様の快進撃もここまでだ。私はたった今、最強の味方を手に入れたのだ。
小銭を数枚。引き渡されるはアイスキャンディ。
赤く染められたいちごの芳香(フレーバー)。
あぁ、愛しの君よ。私は君に会うためにこそ今日ここに居るのだ。
ぺろり、ぺろりと慈しむように。
冷たいけれど甘い逢瀬を重ねていた。
しかし、しかしだ。
彼の者がそのような惰弱を許そうはずもなかった。
おぉ、何たることか。あの暴君の太陽が、愛しの君をじりじりと苛んでいる。
要するに大事に舐めていたアイスクリームが熱気で溶けてきた。
だが、ここで退くことはない。なぜなら彼は。ミルドレッド・S・トレムフォスパーは、愛しのアイスキャンディを救うすべを知っているのだから。
『永久凍土よ、私は祈ろう。どうか、どうか。あの暴君たる太陽の暴虐から、彼の君を救い給え』
祈りは届く。そういうギフトなのだから。
斯くして彼の周りは白き聖域が顕れる。
暴君から尊き逢瀬を隠すように。
ミルドレッド・S・トレムフォスパーは白い息を吐く。
そして、冷たいけれど甘い愛しの君に溶けるような口づけを…………
「……しまった」
ミルドレッド・S・トレムフォスパーは困っていた。
吐息も白く染まるこの気温。
アイスキャンディを食べるには、あまり向いていなかった。
というわけで今回の入団者。
『終焉の静寂』ミルドレッド・S・トレムフォスパー
さんでーす。
入団申請が来たのでさてさてどんな人かなって見に行ったらプロフィールがギフト前提で書かれてたんですけどそのギフトが申請中だったんでちょっとワクワクしちゃいました。
まぁ氷系なんだろうなって思ってはいたんですけどね。
結構ダイレクトに冷気を励起する感じでしたね。
ここ笑うとこです。
まぁそんな感じで。
では以後よろしく