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遥か夏のカプリチオ

【入団報告】火山迷宮のそこそこ奥を目指そう

「最深部を目指すんじゃないんっすか?」
「え、いや……面倒くさいし」

 火山迷宮。
 ギルド、遥か夏のカプリチオが本拠を構える樹海と荒野の果て、名もなき大火山の麓に、突如として口を開いた謎の遺跡である。

 ギルドオーナーであるフニクリは当然のことながらこの遺跡の調査を決定。参加者を募るものの、ギルドメンバーは全員急用により欠席。このときギルドオーナーはメンバーが去り際に「じゃあカラオケ行こうか」と言ったのを聞き逃さなかった。

「というわけでアイツラを鏖にするのを手伝ってほしいんだよ」
「迷宮の攻略って聴いてきたんっすけど」

 そこで冒険者ギルドで探索の人材を募ることにしたというわけだ。冒険者ギルドについてはなんかそういう感じの理解でお願いしたい。
 なんだかんだあってパーティーインした彼女はエミリア。露出度の高い服装に巨大な剣を携えた、全身で戦士であることを訴えかけてくる女性である。

「おっと、間違えた。そうそう、迷宮の探索ね。鏖はその後で」
「すいません、一応クリーンな冒険者でやってるんで、そういう依頼は隣の闇ギルドにお願いするっす」
「所在知られてる闇ギルドってどうなの。しかも近ぇし」
「私に言われても」

 さておき。

「まぁ鏖は冗談ということにしておいて。まずは準備をしないとね」
「ちょっと言い回しが気になるっすけど。そうっすね。なんか必要そうなものってあるっすか?迷宮の中はともかく場所自体はフニクリさんの家の近くなんスよね?」
「うーん、そうだねぇ」

 思案を一つ。

「とりあえず……遺書かな?」
「諦めがはえーっす!?迷宮に入る前から死ぬ覚悟決めてどうするんっすか!」
「だって、ねぇ、あの火山超活発だから。近づいたら噴火に巻き込まれる可能性が」
「ヤベェっすね!いやでも、可能性だけの話なら……」
「まぁ五分五分かなぁ」
「よくもまぁ調査しようって思ったっすね」
「面白そうだったし……」
「それで命かける心意気だけは尊敬するっす」
「あと」
「まだなにかあるんすか」
「よしんば噴火に巻き込まれずに済んだとしても、あのへんはデスフレイムカナリアの巣窟だから」
「オッケーっす。私帰るっすね」

 そして今冒険が始まらない────。









というわけで今回の入団者。
『鋼鉄の冒険者』エミリア・カーライル
さんでーす。

つよそう(感想)。でっかい剣ってロマンですよねー。メイドさんと大きな剣。メイドさんじゃないけど。
それでいてね、この服装ですよ。この軽装。ダンジョンよりもニューヨークの街角が似合いそうなね。ニューヨークってよくわからないですけど。
ギャップっていうのかな?アンバランスさがお互いを引き立たせるっていうのかな?

それではそんな感じで。
では以後よろしく。

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