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商人ギルド・サヨナキドリ

【1:1RP】

──蒼白い月が覗く夜だった。
借金を苦に娼婦へと身を落とした女に代わって殴られる覚悟は出来ていた。
その為の勇気をギフトが称えてくれる。
だから女はとっくに逃がした。その為の時間は稼いだはずだ。
目の前のコイツらに他の仲間が居なければ。
金属を身に付けた拳が、振りかかる。
「やぁ、悪いがその子は見逃してくれないか? 用事があるんだ」
何時まで立っても降ってこない痛み。
代わりに低く落ち着いた声が注がれた。
どんな魔法を使ったのか、倒れる男たち。
男たちを倒す《誰か》は赤くて細くて──
満月を背に立つ姿が、大嫌いなヒーローに似ていた。



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(目を合わせられ、訪れる問い。脳裏に浮かんだのはかつての父親の背中だった。誰にでも優しくて、俺と妹、2人ともおんぶしても揺らがない暖かくて大きな背中。だが次の瞬間その映像は妹の号哭の声と泣き腫らした父親の目、そして己に刺さったナイフに切り替わる)

……どんな、大人……

(次に浮かぶのは大嫌いなヒーロー。あんまりにも鮮烈に、爽快に。あの人の勇姿が目に焼き付いているから。この憧れはもはや呪いのようなものだった。だがそれも次の瞬間、ローレットで知った死に切り替わる。世界の敵という、余りにも重い死に方だった)

…………分かんないよ。オレは、まだ子供でいい。子供のまま、ワガママを続けるよ……だってーーー

(「全ての人を笑顔に出来るヒーロー」、なんてーーー馬鹿げてる)

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