その部屋は四方の壁から床まで真っ白で、窓も無いような部屋だった。

部屋の真ん中には引き出しも無い簡素な白いテーブルが一卓と同じく簡素な白い椅子が二脚。

辛うじて部屋の一角にある本棚と、そこに陳列されている本たちが、この世がまだまともな色彩を持っているのだと教えてくれる。

壁をよく観察するならば、隠れるように同色の扉が存在しているのがわかるだろう。そこが唯一の出入り口らしい。

ーー遠くで微かな悲鳴が聞こえた？なに、気にするほどの事では無い。

参加
武器商人
ヴァイオレット・ホロウウォーカー

なんと…あそこにある魔術書を持ち帰るとは、なんと冒涜的な事を……

ヒッヒッヒ……人の正気は常識に保証されるものですが、我々のような人でなしの正気は一体、誰が定義してくれるのか…何を以て、正気と狂気を分けるのか……

ま、そのあたりを厳密に決めても面白くありませんね。ようは我々は「愉しめるかどうか」。この一点に尽きましょう？そこは人であろうと、なかろうと変わりますまい。

特に…我々のような存在は、退屈ほど忌避すべきものもありますまい？