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酒場『燃える石』

【個別】ごろつきどもがゆめのあと

酒は、良いものだ。
百薬の長とはよく言ったもの。酒で身を崩す者も居るが、それはそいつが阿呆だっただけのこと。酒はかけがえのない命の水であり、人類に(それ以外のいきものにも)寄り添う友である。
特に仕事終わりの一杯は格別だ。疲れた身体に染み渡り、擦り減った心を満たし、傷付いた魂を癒やす。代償は何だ、と?いいや、酒は何も求めない。ただ与えるのみ。哀れな阿呆が溺れて窒息するまでな!
今宵の卓には破落戸が二匹。悪事をはたらき、しくじり、追われ、這這の体でここまで逃げ延びた。酒はどんな輩にも平等だ。こんな輩にも平等だ。
さて、溺れるか。はて、飲み干すか。

(グドルフ・ボイデル【p3p000694】様との個別専用スレッドです。)

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……てめえ今、なんつったよ。

(キドーは血液が遡るような奇妙な感覚を憶えていた。
酒で昂り、麻痺した頭が急激に冷めていく。しかし視界と思考は明瞭にならず、むしろ狭まっていた。目に映るのは見慣れた小汚い髭面。頭の中で繰り返し響くのは、その髭面が発したある男の名前。誰よりも自由だった、あの男の。
キドーが己の怒りの感情を自覚したのは、その次の言葉を発した一瞬後だった。)

テメェの口からその名前が出てくるたあ、どういう了見だ。
終わりだっつったのはテメェだろうがよ。なあ、ついに耄碌したかよ?ええオイッ!クソジジイ!!

(怒声と共に、小さな足でテーブルを踏み付ける。憎たらしい髭面に掴みかからんと、黒く尖った爪が生えた手を突き出した。
汚え髭を面の皮ごと毟ってやろうか。濁った目玉をくり抜いてやろうか。勝負もなにもかも置いてけぼりにして、野蛮で獣じみた衝動がキドーの中で吠え叫ぶ。しかし、その手は髭面には届かず、狭まった視界はぐるりと回った。
テーブルから転げ落ちたのだと気が付いた時にはもう、空き瓶だの食べくさしだのが転がる不潔な床にへばりつくように倒れていた。)

……何が勝負だ。くだらねえ。

(憎たらしい髭面を、酒で濡れた緑色の顔に張り付くモヒカンの隙間から睨め付けながら、キドー「勘定だ」と大声でがなり立てた。
勝負などもうどうでもいい。眼の前の髭面の何もかもが気に食わなかった。消し去ってしまいたいたかった。)

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