店主「…………………………」

カウンターの向こう側に無口な中年男が立っている。
「いらっしゃいませ」の一言も無く、ただ黙々とグラスを磨いている。明らかに客商売向けの人間ではない。

だが、誰もこの男を咎めはしない。
何を見聞きしてもこの男は絶対に他言しない。余計な詮索も一切無い。
ただ、黙ってカウンターに立ち、言われるがままに酒を提供する。

この男の前では何を話しても問題ないだろう。

（雑談スレッドです。）

……ギム？
（視線に気づいてヨダカの方を向くが、直ぐマスターを向き直って）
御店主。店主―。お代わり。お代わりでやんすよー
（大分酔って来てる）
ギ、あー
（再度ちょっと向いて）
やって、良いヒトってのはどうでやんすかね？
何せこないな裏通りの酒場で。
（ギヘヘと笑う）

ギー、何か聞いた事あるでやんすねそう言うの。
（黒鉄の言葉に口元を掻き掻き少し考え）
こっちに来てから聞いた話で確か……
あれや、ええと、武器が物凄い発達し過ぎて戦争で逆に文明が軒並み吹っ飛んだ系の世界が割とちょぼちょぼある、見たいな……そゆのでやんすかね。
文明がふっとぶ武器てあっしにゃ正直想像もつかんけど…

（来たお代わりの酒をチビチビ舐めながら）
裏の世界でやんすかあ。……あっしは今はまあ、どっぷりそっち側言うか、そのど底辺言うかやけど……正直よう分からんでやんすね。
いや、それこそ最下層の下っ端やねんからそれで当然かもやけど……