ギルドスレッド
スレッドの一部のみを抽出して表示しています。
廃墟
相手の様子を見るに、どうやら説明を忘れていたらしい。自分もそうだけれど、こんなところにいきなり訳の分からないまま召喚されたのだ。もとの世界にもそこに住む人にも執着や思い入れのない自分とは違って動揺も混乱もするだろうから、相手以外にも初日の説明が頭から抜けている人は多そうだ。
3人掛けソファーの端に座らせた相手の隣からひとつ空けた反対端に、慣れたように腰を下ろす。ぎし、とまたソファーが軋む音。
おまけのように、枝葉から露が自分の真上にだけ降って来て首筋を濡らす。微妙に冷たくて内心だけで少しびっくりしたけれど、ささやかな不運にも、もう慣れっこだ。
「別に、優しくない。……これは、オズウェル・ル・ルー」
囁くように吐息に溶ける愛想のない声で呟いて、これ、と己を示しながらそのまま名を告げる。この世界で、初めて自分を示す固有名を口にした気がして、なんだか不思議だ。
3人掛けソファーの端に座らせた相手の隣からひとつ空けた反対端に、慣れたように腰を下ろす。ぎし、とまたソファーが軋む音。
おまけのように、枝葉から露が自分の真上にだけ降って来て首筋を濡らす。微妙に冷たくて内心だけで少しびっくりしたけれど、ささやかな不運にも、もう慣れっこだ。
「別に、優しくない。……これは、オズウェル・ル・ルー」
囁くように吐息に溶ける愛想のない声で呟いて、これ、と己を示しながらそのまま名を告げる。この世界で、初めて自分を示す固有名を口にした気がして、なんだか不思議だ。
キャラクターを選択してください。
- « first
- ‹ prev
- 1
- next ›
- last »
若干の暑さは感じるものの、大きく伸びた枝葉の影の恩恵は大きく、寝苦しくなるほどでもない。
綿が飛び出したせいであまりクッション性のないソファーの上で、一度、寝返りをうつ。
頬を撫でる風が心地よかった。
「……晴れ。空。……青……」
半ば寝ぼけながら呟いた端的な声は小さく、するりと空気に溶けて行く。
視界に映る枝葉の隙間の青空が、ひどく眩しくて、心地よい。
日に焼けない白い掌を、木漏れ日にかざす。ほんのりと、血潮が透けた。
・異世界からやって来て、ほんの数日。寝床を決めたばかりのある日のこと。
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎